お知らせ一覧

自動下書き

2017.04.12

トビラコへようこそ!
 

昨年秋に発売された本なので、すでにお読みになった方もいらっしゃると思いますが、まだの方にぜひおすすめしたいのが、栗原類さんの『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(KADOKAWA)です。タレント本というとゴーストライターが書くのが一般的ですが、この本は栗原さんが書いています。なぜ知っているかというと、トビラコ店主は編集した人と親しいからです。編集者によると栗原さんが1年くらいかけて、ずっと書きためていたそうです。

 
で、この本の発売記念イベントで栗原類さんのトークを聞きました。栗原さんはADD (注意欠陥障害)であり、感覚過敏であり、強いこだわりがあるなどの特性があります。一つ一つが具体的に書かれていて、なるほど「こだわり」とはこういうことかなどがわかります。例えば、物が元あった場所に自分が覚えている形で置かれていないと気持ちがものすごく不安定になるそうです。楽屋でペットボトルを置いていたところに別のものが置かれていると、置けるスペースは他にいくらでもあるのにスタッフにペットボトルをどこに置いたらいいのか聞いたと言います。

 
トークショーで、エピソードを語る栗原さんの姿は生き生きとしていて、自分を通して発達障害の特性を理解してほしいという使命感のようなものすら感じられました。「この本を書いて初めて自分はこれでいいんだと感じられるようになった」(言い方は違っていたかもしれませんが)と途中で涙を拭う姿に胸を打たれました。そして特性を人に伝えることってやはり大事なんだなあとも思いました。

 
母親の栗原泉さんの章も秀逸。母としての振るまいは大いに参考になります。例えば、発達障害の子の脳は一般の子にくらべて疲れのベースが違うといいます。クターと怠けているように見えてもそれは脳が疲れているから。「楽しい」もまた外からの刺激になるために疲れの原因に。だから、遊園地や動物園に行っても長時間いて入園料の元を取ろうと思わず、どんなに楽しそうでも1〜2時間で切り上げる。子どもが楽しそうにしていて切り上げるというのはなかなかできませんよね。でも泉さんは、いつもこのままだとこの先、わが子に起こることは何かを考えている方です。親と子は別の個性を持った人間という育て方ですが、だからこそ子どもの自立をベースに考えた子育てをしていました。先輩ママとして、学ぶところの多い本でもありました。ご紹介しようと思いつつ、すっかり忘れていたので、今頃ですがご紹介する次第。

 

トビラコ店主より

✴︎
『使ってみたら「できる」が増えた 発達障害の子のためのすごい道具』(小学館/筑波大学附属大塚特別支援学校主幹教諭安部博志著/トビラコ編集)3刷決定!