トビラコへようこそ
~店先で、ちょこっとおしゃべり~
お試しいただける商品をまとめました、こちらです。
——————————–
軽度知的障害の女性と自閉スペクトラム症の男性の恋愛を描いたマンガ『つたえたいきもち』(津島つしま著 吉村和真・藤澤和子監修 樹村房 2023)の著者の津島つしまさんは発達障害で、作業所に通っています。そこで見聞きしたこと体験したことをマンガにしています。本書は、ふたつの点で興味深いマンガです。
ひとつめは、マンガの描かれ方です。
LLマンガと呼ばれる手法で描かれています。LLとはスウェーデン語のLättläst(レットレースト)の略語で「やさしく読みやすい」という意味だそうです。
マンガは読みやすいと思われがちです。そうでもありません。私も、「あれ、このコマどこへ続くのかな」と戸惑うことがあります。
版元のホームページによると、マンガを読み解くには次のような能力が必要と書かれています。
・変則的に並びさまざまな形状に変化するコマ
・ストーリー展開の中でいろいろに変化する登場人物の表情や立ち位置
・突然時間や場所が移動し,場面がとぶ展開
・小さな文字がぎっしり詰まった吹き出し
・人物の口調や文字の配置先によって変化するフォント
・ルビの振られていない漢字
・絵の一部のように用いられる文字による擬音語や擬態語
なるほど、そうですよね。変則的なコマの並びといい、絵の一部のような擬音語や擬態語といい、頭の中での切り替えが必要です。
LLマンガは、従来のマンガの描かれ方では読むことが難しい、障害のある人(子)のために、やさしく読めるように描かれています。
具体的には、絵がシンプルで、よけいな飾りがありません。ストーリーもわかりやすくて、行きつ戻りつのようなことはありません。すっと頭に入ってきます。
版元のホームページによると、「障害のある人たち(子どもから大人まで)が,自分の生活年齢や興味関心に合った既存のマンガを読むこと自体難しいといえます。ここに,LLマンガの必要性と有用性があるのです。」と書かれています。
「生活年齢」という点に、とても納得がいきました。「精神年齢」は、他の同年齢との比較で、あれができない、これができないという物差しではかります。でも、生活年齢(医学用語かどうかわかりませんが)は、その人の歩んできた環境であり経験であり、障害があるとどうしても経験が不足しているよね、という優しさが感じられます。
このマンガの興味深いふたつめ。
障害者の恋愛が描かれている点です。主人公の女性は軽度知的障害があり作業所で仕事をしています。この作業所で知り合った自閉症スペクトラム症の男性に恋心を描いています。実際には、マンガのようにはいかないかもしれません。
でも、障害のある人の恋愛をテーマにしたこと自体、意味があるのではないでしょうか。障害のある人(特に知的障害)の恋愛は、あまり触れなようにしたいという風潮があるのではないでしょうか。それを正面からとりあげているのが、「つたえたいきもち」です。
私が知らないだけで、知的障害のある人の恋愛を描いたマンガや本はあるのかもしれませんが、あまり見たことがなかったという印象です。
トビラコ店主
********************************
トビラコ店主が取材した記事が小学館子育てサイトHugKumに掲載
障害のある子の困り感を解決する「合理的配慮」とは?スペシャリストに聞いた、うまくいく心構えと実践手引き
すきなのどっち? きもち・つたえる・ボード トライゲーム やってみたいのはどっち?を考案した佐藤義竹先生の『自信を育てる 発達障害の子のためのできる道具』(小学館)、好評発売中!
小学館子育てサイトHugKumに佐藤義竹先生のインタビュー記事が掲載されました。
発達障害の子どもたちの「苦手」や「できない」が私を成長させてくれた。子どもを診断名でラベリングしないで!【筑波大学附属特別支援学校・佐藤義竹先生】
発達障害の子の「できる」を引き出す学習道具ベスト5 筑波大学附属特別支援学校の先生が教えます!
Xはこちらから
Facebookはこちら
LINE@はこちらから。イベントのお知らせなどもしております。