トビラコへようこそ
~店先で、ちょこっとおしゃべり~
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かけ算九九の学習は、教師の間では昔から、「暗記が先」派(以下、暗記派)と「理解が先」派(以下、理解派)にわかれていました。
暗記派は、かけ算の意味を理解する前に、まず九九を暗唱して覚えてしまおう、という考え。
現場の先生に多いような気がします。教科書の通りに進めたいというだけではなく、肌感覚としてそう考えるのだと思います。
九九を覚えてしまうと、計算がラクになるからです。
たとえば、2桁同士のかけ算となると、九九を暗記しているほうが断然有利です。
一方の理解派は、いやいや、意味もわからず暗唱させるのではなく、まず、かけ算とは何かを理解することが先、という考え。
算数教育の研究をしている、学者肌の先生に多い気がします。
こういう先生は、かけ算の順序にもこだわることが多い。
「2個のリンゴを5つのお皿にのせると、リンゴは何個必要ですか?」
という問題なら、2×5とすべきで、5×2ではない、というように。
私もわりと理解派に近かったのですが、井上賞子先生の『学びにくさのある子への算数支援』(Gakken)を読んで、ちょっと考えが変わりました。
井上先生が指摘しているのは、
「九九を覚える」
ことと、
「かけ算の意味を学ぶ」
ことを並行して進めるのは、学びにくさのある子にとってハードルが高い、ということです。
つまり井上先生は、どちらかの派閥というより、
「二つを並行して学ぶのは難しいだろう」派。
私もこちらの派に賛成です。
確かに、九九を暗記するだけでも大変です。
でも、暗記してしまったほうが、その後の計算はラクになる。
そこへ同時に「かけ算の意味を理解する」という課題まで加わると、結局、「二兎を追うものは一兎も得ず」状態になりかねません。
そこで、井上先生の提案は2つ。
ひとつは、九九の学習が始まる前から、時間をかけて九九を覚えておくこと。
学びにくさのある子は、「ゆっくりたっぷり」時間をかけるのがいい。
もうひとつは、九九を全部覚えなくてもいい、ということ。
たとえば、6の段を覚えていなくて「6×2」が出てこなくても、2の段の「2×6」を覚えていれば、答えは出せます。
九九を全部覚えることを目標にして負荷を大きくするより、使える九九を増やしていく。
「知らない」「できない」となるよりも、知っている九九を使って「わかる」にたどり着けるほうがいい。
暗記できていると計算はラクになる。
でも、その暗記そのものが大きな負担になってしまっては元も子もない。
なるべく子どもへの負荷を少なくしながら、「わかる」にたどり着ける道をつくる。
う〜ん、さすがですよね。
トビラコ店主
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