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聴覚過敏の子（人）は、大きな音が苦手な場合が多いですよね。
「苦手」などという生やさしいものではなく「恐怖」です。音の種類や大きさによって、「なんとか大丈夫」「絶対ダメ」「恐怖」という段階があるように思います。
聴覚過敏で自閉症＆知的障害の妹と、いつも通る地下鉄の通路を歩いていたときのことです。
工事の音が聞こえるその道を、妹はいつもはなんでもなく通ります。
でも、昨日は違いました。
工事の音が聞こえた途端に絶対にそこは通りたくないという意思を体で示しました。
そこで、妹の体を抱えるようにして一番近くの地上への出口から脱出してことなきを得ました。
いつもは通れる工事中の道なのに、なぜ通れなかったのか。
それは簡単な話で、工事している音がいつもと違ったからです。
いつもが「ガガガ！」と木材に穴を開ける程度の音なら、昨日はもっと底力のある音、まるでコンクリートの地面をえぐっているような「ズドドドドド！！」という爆音に近い音です。
おそらく妹はこの音に恐怖を感じたのでしょう。聴覚過敏がなくてもあまり気持ちのいい音ではありません。聴覚過敏だと、この音が何十倍にも拡大して聞こえてしまい、恐怖以外のなにものでもなくなってきます。
地上に脱出することで、普段は通らない道を通ることになりました。「普段通らない道」を嫌がる妹です。昨日は「音の恐怖」から逃れることができるなら「普段通らない道」でも構わないという感じで、まったく抵抗を示しませんでした。いかに、その音が怖かったのかがわかります。
それにしても、こちらにある程での知識があってよかったな、と思いましたね。
「聴覚過敏」ということに気づいていないと、工事中の道を通りたがらないのは単なるわがままです。しかもいつもは工事中の音が大丈夫だったのに、今日はなぜ？ ということになります。
ひとくちに工事中といっても音の種類が違えば、それはまったく違う音なのです。
イヤーマフをつけることができない場合は、周囲が気づいてその場から離れる方法をとると難を逃れることができます。
この話をしたら、「工事の意味がわかると、怖がらなくなるでしょうね」とある医療関係者に言われました。つまり知的障害だから工事の意味わからないということを言いたかったのだと思います。
いやいや、工事の意味がわかってもダメなものはダメですよ。聴覚過敏は脳の気質によるものなんですから。医療に携わる人でさえ、これです。根気よく当事者やその周辺にいる人が説明する必要がありますね。
トビラコ店主より
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