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小さなルール違反は、日常生活であたりまえのように起きています。
交通ルールでは、歩行者は右側通行となっていますが、時には道の左側を歩くこともあります。
それをいちいち、だれかに「右側を歩きなさい」と指摘されてしまうと鬱陶しいと感じますよね。特にだれかに迷惑をかけているわけでもないので、暗黙のうちにそれは良しとされています。
ところが、この「暗黙の了解」が苦手で、ルールは必ず守るものと決めている子にとっては、ちょっとした違反が気になります。いちいち指摘して相手やまわりの子に嫌がられたりして孤立してしまうことがあります。
50歳になってADHDなどの発達障害の診断がついた知り合いの男性は、ルール違反が許せない人でした。電車の中で足を投げ出している人にキレて注意をしたそうです。注意された相手は強面のお兄さん。車内でトラブルになってしまいました。
乗客の通報で駆けつけた車掌さんは事情を知らないものだから、強面の方を取り押さえて、知り合いに「早く降りて逃げなさい」と言ったそうです。強面がいくら「先に手を出したのはあっちだ」といっても聞いてもらえません。
知り合いの男性は、発達障害の診断がついてからは、自分の衝動的な行動、ちょっとしたルール違反が我慢ならない融通のきかない特性に納得がいったと言います。
『発達教育』という雑誌に、ルール違反を許せいな子の相談が出ていたので、その男性のことを思い出しました。お母さんが心配して相談したのですが、解決法に唸りました。
ルールを守りたがるという特性があるのなら、「他人のことは言わないようにする」というルールを作ってみてはどうかという提案です。他の子のルール違反（机の上にのるなど）は、先生や親が注意すればいいことで、あなたがいうことではないよ、というルールです。言いたくなっても、黙っていられたら、それはカッコイイこととして評価する、というじつに具体的で行き届いたアドバイスでした。
ついでに、他の子のちょっとしたルール違反をいちいち先生に告げ口するのもなし、というのもルールにするといいですよね。先生への告げ口は子ども社会では、それこそがルール違反です。密告者扱いされていじめにつながります。あ、もちろん、自分が不当な目にあっているときは、また別ですよ。あくまで、他の子がやることに目くじら立てないようにしようね、ということです。
他人のルール違反に黙っていられなくなったまま大人になると、先ほどの男性のようにトラブルになってしまいます。
ルールは、違反の範囲も含めて、その集団の暗黙の了解というところがあるんですよね。ここを理解するのが難しい子には、「他人のやることにいちいち口出しない」というルールを作って、守れたら「かっこいいね」にするといいですね。
トビラコ店主より
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