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トビラコへようこそ!
〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
今でこそ「子どもの居場所」という言葉が使われ、居場所づくりを大切に考える人たちが増えてきました。
30年以上前から子どもの居場所づくりを、考えていた人がいます。
西野博之さんです。不登校、ひきこもりの子たちに居心地のいい場所を提供してきました。提供というよりも、一緒に作ってきたというほうが近いかな。最初は、多摩川沿いの小さなアパート(だったと思います)、だから多摩リバー。転じて「たまり場」と呼ばれていました。
30年前は、今と違って不登校やひきこもりの子は、「特殊な現象」「特別な子」と見られていました。
当時は、みんな右へならえの多数派の時代です。学校のルールに皆が従い、従えない子には体罰が与えられることも珍しくなかったんです。そんな時代に、不登校の子やひきこもりの子の「居場所」を作った西野さんは、あらためてすごい人だなと思います。
私が編集していた子育て雑誌にも、何回かご登場いただきました。
いつだったかなあ、と記憶をたどりながら引っ張り出してきたのですが、2010年の号で、ちょうど10年前。
「子育てに手を焼いたときの処方箋」という特集で取材しました。トラブルが起きたときに、どうしたらいいのかという特集です。
西野さんは、「まず徹底的に子どもの話を聞こうよ」という話だったので、タイトルを「問題を解決する、子どもの話の上手な聞き方」にしました。
今、読み返しても全然古くない。むしろ、今必要な提言ではないかと思いました。
トラブルに直面したときに、肝に銘じておきたい3か条として、次の3つをあげています。当時の中身をギュギュッとコンパクトにまとめました。
1)親がいい悪いを決めつけない
トラブルの原因探しをしたところで、すっきりと解決することはほとんどない。それよりも、動揺している子どもの訴えを十分に聞く。自分の話を十分に聞いてもらった子は、そこで初めて自分の問題として考えることができる。
2)子どものうそには寛容であれ
子どもの話が正しいか正しくないかの判断は急がない。騙されてもいいから、子どもの話を徹底的に聞く。そうしていくうちに、子どもはウソの上塗りができないことに自分自身で悟るようになる。
3)相手の悪口を言わない
問題が起きたときに、親が先回りしてやりがちなのは相手の悪口を言うこと。これは避けなければならない。人のせいにしているうちは、子どもは自分の問題として受け止めることができない。困難な局面を前にしたときに子どもにどんな力をつけてほしいか。少なくとも人のせいにする子にはなってほしくないはず。
これって、今でもそのまま通用しますよね。「正しさ」だけを追求するといいことはないということなんですよね、結局。
不登校は決して特殊なことではなく、誰でも起きうることとして文部省(当時)が認めるようになっても、やはり不登校の子や親は肩身が狭い思いを強いられていました。
「たまりば」は、やがて「NPO法人フリースペース たまりば」となって、川崎市に場をつくり、プレーパーク(冒険遊び場)と共存する場に発展。不登校だけではなく、誰でもが自由に出入りできる「川崎市子ども夢パーク」「フリースペースえん」という「場」を作っていった西野さん。文部科学省フリースクール等に関する検討会議委員となり、川崎市附高校対策連絡協議会委員となり、早稲田大学・神奈川大学非常勤講師を務めるようになりました。
時代が、西野さんに追いついてきたという感じです。
西野さんは、3月21日土曜日のよる7時から、NHKラジオ第2放送に出演します。よかったら聞いてみてください。
トビラコ店主
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