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26年前1月17日に起きた阪神淡路大震災を機に、おつきあいがはじまった学童保育があります。
神戸・東灘区にあるその学童の建物は、半壊と全壊の間くらいの被害を受けました。
人を介して知り合ったのですが、学童の指導員や保護者の方たちからたくさんことを学びました。
そのなかでも、一番大きかったのは、子どもにとって居場所の力がいかに大きいかです。
建物が使えなくなった学童は、指導員の家の一角を使ったり、河原に大きなテントを張ったりして臨時の学童を運営していました。
余震におびえながらも、ぽつりぽつりと集まってくる子どもたち。そのなかで、最初から毎日欠かさずに通ってくる小学2年生の男子がいました。家ががかなり遠いため、通うのが危険が状態であるにもかかわらず、です。途中、建物が崩れ、電信柱が倒れ、電線がぶら下がったりしているのに、なんでや。当時指導員であり学童創設者のMさんは、そう思ったそうです。Mさんによると、学童に入ったばかりのころのその子は「危ない目つき」をしていたとこのこと。ベテランになると、そういうこともわかるんだなと感心しました。
でも、何度かその学童に通ううちに「危ない目」の意味がわかるようになったのです。とても人懐っこい子でした。あるとき、日曜の夜はいつも弟と2人で公園のブランコに乗って過ごしていると話してくれました。すぐにはその意味がわかりませんでした。でも、そうか、日曜の夜、家の中にいられないということだったのかと、あとから知りました。家庭に居場所のない子だったのです。
男の子の家庭の事情を知っていたMさんは、彼に積極的に手伝いをさせていたました。男の子もMさんをとても慕って信頼関係を築いていました。こうして学童は男の子が安心して過ごせる居場所になっていったのです。その学童の建物が壊れて臨時の場所になろうとも、男の子にとっては自分の居場所です。危険な目にあってもたどり着きたい場所です。Mさんも、途中からそのことに気づきました。その学童がなかったら、男の子は「危ない目つき」のまま成長してしまったかもしれません。
余震がこわくて、車の中から出られなくなった小学3年生の女の子がいました。いまなら、PTSD症候群ということで、心療内科マターです。でも、26年前、心療内科はそれほど一般的ではありませんでした。車から出られなくなった女の子を、遊びに誘い出したのは学童の子どもたちです。遊ぶだけではなく、子どもたちは廃材集めにリヤカー引いて近所をまわり、炊き出しの燃料として小学校へ運んだりしていました。そうしていくうちに、女の子は徐々に笑顔になっていったのでした。
Mさんは、「子どもは守られるだけの存在やない。ともに生きていく仲間や。生活者や」と言って、子どもたちを「お客さん」扱いすることを一切しませんでした。子どもたちには、何かしらの役割が与えられていて、それで学童がまわっていました。自分の役割があるということは、そこが自分の居場所になるということです。
居場所の力ということを、初めて意識できたのは、Mさんと学童のおかげです。その後、神奈川県川崎市のフリースペースえん(当時は、不登校の子などの居場所である「たまりば」)の西野博之さん(現在は所長)にMさんを紹介したところ、すぐに意気投合してくれました。考えていること、感じていることが同じということが、動物が嗅覚で相手を判断するようにすぐにわかったとMさんは話しました。居場所つながりで大人同士もつながりました。(震災の話は、明日も続けます)。
トビラコ店主
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
『発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)