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2021.04.26

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「息子よりも1日だけ長く生きることが願い」
 
たまたま借りた韓国映画のDVD、「マラソン」。主人公は自閉症の青年、母親のこのセリフは、障害のある子の親にとって胸に重く響くでしょう。実話を映画化して韓国で大変な人気を博したそうです。
 
親の愛情とエゴはコインの裏表であるということを、映画を観て強く感じました。
 
映画は、親のエゴだからとバッサリ斬るのではなく、エゴの時期を通して徐々に子離れを余儀なくされていく過程が丁寧に描かれています。
 
また自閉症の特性のこまかなところが、よく描けていたのもリアリティがありましたね。
 
たとえば、主人公はシマウマ好き(シマウマにこだわりがあります)で、シマウマの模様をみると触らずにはいられません。街でシマウマ模様のショルダーバッグを下げた若い女性を追いかけてバッグに触ろうとします。
 
驚いた女性は、母親に「施設に入れろ」と文句を言います。すると母親は息子に障害があることを、強い調子で言い返します。
 
地下鉄では、シマウマ柄のスカートの女性のお尻を触ろうとします。主人公の目に映っているのは女性のお尻ではなく、シマウマのお尻なのです。だから触ってみたくなるのです。この主人公にはこう見えているんだろうなという映像でした。女性の彼氏からこっぴどく殴られて大騒ぎになったところに母親が駆けつけます。
 
「障害があるんです、障害があるんです」と、普段母親がそうしているように、叫ぶ青年の姿には胸が打たれます。
 
療育の場面が出てくるのですが、これは日本とほぼ同じでした。表情を描いた何枚ものカードを見せて、感情の表現を教えていました。
 

「お母さんが、入院したら、どんな顔?」と聞く、療育者。
 
「うれしい」「かなしい」「怖い」など何枚も出されるカードに、主人公は答えることができません。
 
しかし、この場面は伏線であることが、のちにわかります。母親が入院すると、主人公は病室のガラス越しの母を見て、悲しげな顔になり涙を浮かべます。
 
幼少期の雨の日、母親から「これが、雨。雨がザーザー降っています」と、手に雨を受け止めさせても言えなかったのに、青年になってあることがあって、降ってきた雨を手にした主人公は「雨、雨がザーザー降っています」とつぶやきます。
 
10年以上経て、出てくる言葉。そして覚えている場面があるんですよね。映画のテーマではないけれども興味深かったです。

 
以下は、ネタバレなので、これから映画をご覧になる方はお気をつけください。
 
主人公のチョウォン(チョ・スンウ)は、知的障害のある自閉症。言葉を発することがほとんどできず、母親が世話に明け暮れます。水泳を習わせたりいろいろさせるなかで、息子はマラソン好きと気づきます。実際にハーフマラソンの大会で3位をという成績も収めました。
 
息子を大きな大会に出場させようと、母親はコーチを雇います。コーチは、かつてボストンマラソンに出場して優勝するほどの実力者。しかし飲酒運転の罰として、ボランティアを命ぜられたという人物です。最初のうちは、ろくに教えもせずに酒びたり。しかし、次第にマラソンを純粋に愛するチョウォンのまっすぐさに心打たれ、マラソンへの情熱が再び呼び起こされます。
 
ふたりは親密になり、コーチはチョウォンを居酒屋に連れ出したりもします。チョンウォンが家でもビールを飲む真似をして「プハー」と言ってテーブルにコップをドカンと置いたりするのは、ちょっと笑えます。しかし笑えないのは母親。それでなくても酒浸りのコーチに芽生えていた不信感が、次第に膨らみ、ついには対立。チョウォンにマラソンをやめさせようとします。
 
コーチは、母親に言います。
「チョンウォンは親がいないと生きていけないんじゃない、チョンウォンがいないと生きていけないのはアンタだ」
 

チョンウォンは、純粋にマラソンが好き。でも、母親は「マラソンをしているときだけは、皆と同じ普通」と言います。「皆と同じ普通」でいてほしいという気持ちは親の望みでしかありません。息子はそんなことはどうでもいいのです。それよりも息子からマラソンを取りあげようとするのは、やはり親のエゴでしかないでしょうね。
 
でも、チョンウォンは、結局、マラソン大会に出場。コーチは全力で応援します。途中倒れながらも、走り通すチョンウォン。走っているときに、チョンウォンの頭をよぎるのは、自分を殴った人や敬遠した人たちが拍手しながら見送ってくれる姿です。走っている時は至福の時なのです。
 
そして、母親が差し出す手を振り切ってひとりで走り出す場面が象徴的。母親の手を借りずとも、自分の好きなこと、好きな道を歩む、つまり母親からの精神的な自立だったのではないでしょうか。
 
ただ、自立できたのは、母親の惜しみない世話があったからこそともいえます。だから安心して、母親から離れることができるようになったのだと思います。もし、これが、母親がいついなくなってしまうかわからない存在なら手を離すことはなかったでしょう。
 
最後、カメラマンに囲まれたチョンウォン。「スマイル、スマイル」としきりに笑うように言われます。かつて、同じことを母親に言われ、鏡の前で母親に口角をあげられて練習をさせられたチョンウォン。それは、自らの気持ちではありませんでした。最初のうちこそ、ぎこちなく笑いますが、最後、本当に自分の心からのいい笑顔となって写真に収まったところで終わります。

 
 
 
 

トビラコ店主

 

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