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子育ての本ではないのに、子育てと同じと思える本があります。
「環境を整えるといい菌がやってくる」という話が書かれている『菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案』(渡邊格・麻里子著 ミシマ社)は、子育てと相通じるところがとても多い本です。
著者はタルマーリーというお店の経営者夫妻。タルマーリーは鳥取の智頭町(ちずちょう)でパンとビールを作り、カフェも併設しているお店。菌を採取して、育てるところから、発酵食品であるビールやパンを作っています。評判が評判を呼び、タルマーリーの味を求めて日本全国から人が集まり、海外からも注文がくるのだとか。すごいですよね。
本書は、渡邊夫妻が語る菌の話です。開店に至るまでの紆余曲折もとても面白いのですが、やはり菌の話の面白さ、深さは飛び抜けています。
ここでいう「菌」とは、パンやビールを作るときの「酵母」「乳酸菌」「麹菌」。この菌がうまく育たないと、パンやビールを作ることができません。
菌を育てるときに、何より大事なのは環境だそうです。環境が良ければ、人間が余計なことをしなくても(むしろしないほうがいい)、いい菌が育ち、環境が悪ければ菌の状態は悪くなり、黒カビが入るなどして使えなくなるそうです。
「環境」は、工房の空気もそうですが、工房の外の豊かな自然もまた環境。汚れた空気は雑菌が多いでしょうから、いい菌を採取したり育てたりするのは難しい。ここまではわかります。でも、不思議なのは、工房で働く人間も菌にとっては「環境」なんだそうです。この点が、子育てに通じるところ。
菌に携わる人がストレスフルだったり、元気がなかったりすると、菌はたちまち悪い状態になってしまうのだとか。
非科学的と思われるかもしれませんが、実は、そうでもないんです。ストレスがたまると、皮膚の毛穴からよくない物質が発散される(アレルギーなどもそうですよね)ため、その物質が菌をダメにしてしまうそうです。
渡邊さん夫妻は、すべては「菌が教えてくれる」といいます。まさにタイトル通り「菌の声を聴け」です。
鳥取智頭町に店を開く前は、タルマーリーは岡山で工房を開いていました。でも、工房の空気だけを整えるだけでは不十分で、工房の外の自然環境も大事であることを、菌の状態を見て知るようになります。工房で働く人間の精神状態が良くないと菌が育たないことも、菌を見て気づくようになりました。
人もまた環境であることは、子育てとまったく同じです。
こちらの思い通りにしようという「計らい」があると、菌はその通りには育たないといいます。環境を整えれば、自ずといい菌がやってきて、よく育つ。子育てに置き換えると、子どもを親の思い通りにしようとするのではなく、まず親という環境が変わる、ということとも似ているかもしれません。
子育て本、発達障害本を山ほど読んでお疲れの人にも、おすすめの菌の本。視野がぐっと広がります。
トビラコ店主
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