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「お母さん、私の脳みそ取り替えて!」
と、叫んだのは知り合いの娘さんが小学校3年生のころです。学習障害・ADHD、広汎性発達障害の診断が下っていました。知的な遅れはないものの、適切な学習法で教えてもらえないため勉強についていけず、答案用紙を白紙で出して問題になったこともあります。
さらに苦労したのは友達づきあいです。いわゆる女の子同士の暗黙の了解がわからず、空気が読めなくて苦労していました。
「分からなくても、ニコニコしていればいいから」という母親のアドバイスに従い、友達の悪口をみんなで言っているときも、ニコニコ笑ってウンウンと頷いてしまったためにいじめにあってしまったといいます。同調していないと思われたんですかね。
女の子は、いったい、どうしたらいいのかがわからず「脳みそ取り替えて」と思わず叫んでしまったのでした。この話を聞いて、私は胸がつぶれる思いでした。
小学3年生にして、すでに自分自身の障害を受け入れるかどうかの問題に直面。そしてとても受け入れられない(3年生ならあたり前です)という気持ちが、「脳みそを取り替えて」という悲痛な叫びになったのです。
脳みそを取り替えることはできません。でも、いまいる状況を変えることはできます。
先日、このコーナーで神学者ニーバの祈りをご紹介しました。
神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。
ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)
小学3年生の女の子に、変えられるものと変えられないものの識別なんて無理です。でも、彼女もやがて識別できるようになるんでしょうね。それはそれで胸が痛みますけど。
女の子は発達障害の子を受け入れている私立中学(星槎中学)に通いました。そこで初めて、遅れを取り戻してもらい、彼女に合ったやり方で学ぶことができ、勉強ができるようになったのです。
お母さんの話では、中学入学を機に女の子は変わったといいます。それまでは何をやっても自信をもてないでいた女の子でしたが、中学に入ってから自信を取り戻すことができるようになったそうです。
もし、時間を巻き戻すことができるなら、勉強よりも好きなことを好きなだけやらせてあげていればよかったとお母さんはいいます。勉強は後からいくらでも追いつくことができるけど、縮こまった自信を取り戻すのは相当時間がかかり、大変だったそうです。
それでも取り戻すことができたのだからいいですよね。できずに、縮こまったままの人も少なくないのではないでしょうか。
「変えられるもの」「変えられないもの」の一例としてご紹介しました。
トビラコ店主
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
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