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〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
わが子をかわいいと思えない。
特に子どもに障害があったりすると、このような思いを抱いたいことある親は少なくないように思います。
『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(松永正訓著 中央公論新社)の中で、主人公の勇太くんがデパートでいなくなる騒ぎがありました。デパートの隅から隅まで必死になって探す母ですが、ふと「このまま見つからなければいい」という思いがよぎります。
この本は、聞き書きです。取材されて、その時の思いを正直に伝えた母(立石美津子さん)に驚きました。知らない人が聞けば、なんという母親なんだと思うかもしれません。でも人からどう思われてもいいという覚悟を立石さんに感じました。
知り合いの職員が勤務する施設での話です。
入所していた女の子が山の遠足で姿が見えなくなり、職員と保護者で捜索する大騒ぎになりました。幸い、無事見つかったのですが、母親が「このまま見つからなくてもいいと思った」と職員に話したそうです。黙っていればわからないのに、あえて職員さんに話したのは、吐き出さずにはいられなかったのでしょう。それだけ自責の念にかられたともいえます。
「かわいいと思えない」。「いなくなってもいいと思ってしまう」。
どのような感情を抱こうが、そこにいい悪いはありません。責められるものでもないと思います。
で、そんな風に思ってしまう、いまの自分は「いっぱいいっぱいなんだなあ」と思えないでしょうか。
『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』の立石さんが「このまま見つからなければいい」と思ってしまった時、「振り返れば最もつらい保育園時代だった」そうです。常に健常児とわが子を比べる毎日だったと本で語っています。
ひとりで抱えきれないのに抱えようとするから「いっぱいいっぱい」になってしまうわけです。そんな時は、ちょっと外に出てみませんか。例えば、自治体の子育て相談の窓口で話を聞いてもらうのも悪くありません。いいアドバイスがもらえるかもしれません。
重度の知的障害を伴う自閉症の娘を持つ母も今から思えば、かなり煮詰まったことがあったと思います。相談窓口にも行っていたようです。そこで意外なことを言われて帰ってきたことを、先日知りました。
「(相談員に)〇〇(妹の名)は、大きくなったら、お金を稼げるようになるって言われたよ」と、母は話してくれました。私からすると、え、そんな風に人を見るのかと思ったのですが、意外にも母はそう言われて悪い気持ちはしなかったようです。
「社会に出て働けますよ」という意味にとったのかもしれません。反応するポイントというのは、人それぞれだなあと思いましたね。ま、その窓口から、いまでいう療育センターのようなところに繋いでもらったわけですが。
相談してみると、意外なアプローチがあるかもしれません。相談員と合わないようなら、別のところへ行けばいいだけの話です。地元の自治体が今ひとつなら、もう一つ大きな自治体(都府県など)へ、というように。いまは、どこの自治体も子育て相談には力を入れています。自治体でなくても、民間でもいいところがあるでしょう。
いっぱいいっぱいの時って、よそのお母さんがうまく子育てしているように見えてしまうのかもしれません。でも、本当はそんなことはないんですけどね。
障害のある子を育てていると、いわゆる健常児を育てているとわからない、たくさんの気づきがあります。人と比べることに何の意味もないとかね。でも、そのことに気づくのは、「いっぱいいっぱい期」が過ぎてからかもしれません。
トビラコ店主より
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