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2019.09.16

トビラコへようこそ!
 
〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 
 

「見通しを立てる」は、発達障害の子(人)にとって大きな課題になることがあります。
 
社会生活を送る上でも、ついて回ってくる「見通し問題」。
 
昨日、発達障害当事者(ASD,ADHDなど)の女性が主催する勉強会に参加してきました。
 
「見通しを立てる」ことについてお話しされていて、なるほどと思いました。
 
簡単にレポートにしてみます。レポートというよりも、意訳です。特殊な仕事だけに通用する話ではなく、汎用性のあるものに意訳してみました。
 
ーーーーー勉強会、レポート+雑談ーーーーー
 
見通しを立てることができない原因はいくつかあります。
 
考えられるものとしては、
 
1)全体像をつかむことができない。
 
たとえば、「書類を作成して2週間後に提出」と言われたとします。
まず、書類の完成形というのはどのようなものなのか、という「全体像」をつかむ必要があります。
 
全体像がつかめないと、書類作成のために、何をしたらいいのか。資料が必要なのか、自ら足を運ぶ必要があるのか。あるとしたら、それはどの程度なのか。こうしたことがわからないと、段取りができなくなります。
 
効率よく段取りをつける上でも、全体像をつかむことが大事なんですが、全体像をつかめないときにどうするか。上司なり書類作成を頼んだ人に率直に相談して助けを求めるのがいいとのこと。
 
わからないことは「教えてください」、困った時は「こういうことで困っています。助けてください」と言えること。そして、教えてもらったり、助けてもらったりしたら、必ず「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べることが大切。
 
教えてください。助けてください。ありがとうございます。
 
これができるだけでも、周りからの好感度も高くなり、教えてもらえる人になります。余計な苦労もしないですみます。
 

2)期限が守れない
 

時間の見通しが立てられないと期限が守れなくなります。ひとつの作業にどのくらいの時間がかかるのか、これが把握できることが大事。1)の全体像をつかめず、従って段取りが組めない、ということとも関係してくるかもしれません。
 
勉強会を主催した女性は、期限を前倒しにて、自分のための締め切りを設けているそうです。
 
2週間後という期限だとしたら、1週間後を締め切りにします。そこで全部できていなくてもいいのです。でも、とにかく1週間後を目標に仕事を進めます。そこで完成すれば、それに越したことはありません。
 
1週間後に完成しなかったとします。残り1週間をいくつかに分けます。
 
10日後を締め切りにします。つまり、自分が設けた締め切りから3日後ということになります。それでもできなかったら、もう少し締め切りを伸ばす。
 
そのようにして、なんとか期限の2週間後に間に合わせます。自分としてはかなりの綱渡りのつもりでも、頼んだ側にしてみれば期限を守ってもらったと受け取ります。その結果、信頼されるようになります。
 

信頼される人になることは、仕事をする上でとても大事ですよね。
 
勉強会を主催した女性がどうして人から信頼され、仕事も前向きに取り組むことができるのかがわかったように思います。
ちょっと話が逸れます。
 
自分の作業にどのくらいの時間がかかるのかが検討がつかないことがあります。それを小さいうちから意識させるために、このようは方法があるのかと感心したことがあります。
 
ある放課後デイで見た光景です。
 
計算プリント1枚をこなすのに、どのくらいの時間がかかるか。それを知るためにタイムタイマーを使っていました。タイムタイマーというのは、残り時間が見えるキッチンタイマーのようなもの。10分で、このくらいの量ができた。あと3分しかないから、間に合わない。というように、自分の作業を時間を意識しながら進めることをしていました。
 
それは、決して「早くしないといけない」と急かすのではありません。自分なら、どのくらいの時間でできるのか。それを知るためのものです。

 

全体像をつかめず、期限も守れなくて、仕事をなくした人をみてきました。
 
典型的な例を挙げます。
 
ライターでADHDのAさん。コミュニケーション能力に問題はありません。社交的で新しい人と知り合うのが楽しいと思える人です。
 
出版社に企画を持ち込んだところ、通りました。とてもうれしくなって、「デザイナーの手配もできます。なんでもできます」と、つい大きな風呂敷を広げてしまいました。
 
この時点で、全体像が見えていなかったのでしょう。本1冊作るのは、とても大変なことです。あれもこれもと風呂敷を広げると収拾がつかなくなるんですが、全体像が見えないと、あれもこれもできるような気がしてしまうんですよね。
 

出版社の編集部だって、喜びます。そんなにあれこれできるという人に任せることができるなら安心です。
 
でも、締め切りがきても全くでき上がってきません。ここで、まず編集部はおかしいと思いますが、締め切りをギリギリまで伸ばします。
 
ところで、デザインは?と見せてもらうと、これが、本のイメージとはかけ離れたものであることが判明。編集部は青くなって、表紙やカバーなど目立つところは別のデザイナーに発注しました。もちろん、大急ぎでの発注。それで、なんとか、発行日に間に合わせようとしたのですが。。。
 
何度か締め切りを延ばした挙句のライティング、出来上がったものがほとんど使いものになりません。
 
この時点で、発行日は延期が決定。発行日に合わせて動いていた営業や広告局にも迷惑をかけてしまいます。新聞広告を予定していたかもしれません。書店にも発売日を知らせていたかもしれません。その全てがパーになるわけです。
 
全体像をつかめないということが、どれほど大変な事態になるか。Aさんが、もし途中で「間に合いそうもありません。助けてください」コールを出していたら、もっと違う展開になっていたかもしれません。
 
時々、出版の業界ではあることです。意外とこの業界ADHDの傾向にある人が多いんですよね。
 
Aさんは信頼を失うと同時に、その版元からの仕事も失いました。
 

全体像が見えることも大事ですが、もっと大事なのは「助け」を求めること。できないことは「できない」と言えること、と同時にこのように配慮してもらえればできます、と伝えることも大事。
 
ここからは、個人的な見解になります。
 
「助けて」「教えてください」と言えるためには、やはり小さいうちから、それを言いやすい環境も必要だと思います。人に助けを求めることは恥ずかしいことではありません。
 
勉強会に参加していた男性は、「きつい調子で注意されるとそれだけで萎縮して、何もできなくなる」と話していました。発達障害の子の中には、「きつい調子で注意されることがとても苦手」という子も少なくないように思います。
 
きつい調子で注意されることが嫌で「助け」を求められなくなることも考えられます。
 
なので、家庭では「きつい調子」というのは避け、「助け」を求めてきたら、いつでも応援するし、手伝うという姿勢も大事かと思いました。
 
なんだか、とりとめのないレポートになりましたが、参考にしていただけたら幸いです。

 
 
 
 

トビラコ店主より

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