トビラコへようこそ!
〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
週に5日も6日も習い事をしている子どもと親を取材したことがあります。
ピアノ、英語、スイミング、そろばん、習字、バレエだったかな。
子育て雑誌の編集をしてたころです。習い事三昧の子とその親が、ある有名先生と面談するという企画です。月1回の連載で、5年くらい続いたので、50組くらいの親子に会っていたことになりますね。
特に習い事三昧の子だけを取り上げたわけではなくて、連載の企画に応募してくれた親の子はそういう子が多かったというだけです。まれに違う子もいたので、それは別の機会に話します。
父親よりも忙しい子どももいました。習い事を決して否定はしませんが、今から思うと、親たちは大事なことを忘れていたかもしれません。
それは、「子どもは疲れていても元気に見える」ということです。
でも有名先生は、さすがでした。子どもの疲れを見抜くんです。たとえば、面談時に持参したテストの答案用紙の小さなミスからも。
こんなに勉強ができる子が、こんなところでミスするはずがないというところでミスをしていて、それは「疲れていて、集中できないからだ」という趣旨のことを、先生はおっしゃっていました。
確かに、1学期分のテストをずっと見ていくと、ものすごく惜しいミスが多いんです。
さらに、先生の話は続きます。
「この子は、今はとても勉強ができるけど、このままだと高学年、中学ではあまり伸びないと思います」
先生は預言者でした。たくさんの子どもを見てきているからこその言葉なんでしょうが。断言されると、親もビビってしまいます。というか、親をビビらせるために「預言者」になったとも言えます。
「お子さんのスケジュールを見ると、日曜以外は常にだれかに指示されて動く生活をしていますよね。自分で考えて行動するという時間がほとんどない。だから、思考力が問われるようになると伸び悩む」
うなづく親に、先生はたたみかけます。
「低学年から、こんなに余裕のない生活をしていると、高学年でゴムが伸びきったようになってしまうんです」
習い事を減らすように、先生はアドバイスし、その場で、子どもに「通いたくない習い事」まで聞き出していました。
親がその通りにしたかどうかわかりません。でも、その時にわかったのは、「子どもの疲れに無自覚な親が多いんだ」ということです。
最近、療育の世界でもこのようなことが起きていると聞いたことがあります。
療育の教室そのものも、習い事のようにたくさんのメニューを揃えているところがあります。5つも6つもの教室を毎日はしごしている親子がいるとのこと。
これ、確実に疲れます。
発達系の子は、そうでない子に比べて疲れやすい子が多いし、疲れを自覚しづらいのです。できればひとり、せいぜいふたり、子どもと相性が良くて、子どもをよく理解してくれる先生と長くおつきあいするのがいいんじゃないかと、個人的には思いますが。
習い事や療育のことを、こんなに長く書くつもりがなかったのですが、ある光景を見たのがきっかけでした。
話があちこち飛んで申し訳ありませんが、その光景とは、次のようなものでした。
近所の男の子が小さな自転車にまたがったまま、口を半開きにしていました。
何を見ているのかと思ったら、向かいの家の解体工事が終わった後の地ならしに、吸い込まれそうに見入っていたのでした。
家の解体はほとんど終わっていて、あとは空き地の地ならしをするという段階、ユンボの大きいな腕がグワングワンと左右に動き、爪のついた大きな手でグサリと土を掘り返しては、ならす、ということを繰り返していました。
口半開きの男の子は、その様子に、まるで魂を奪われたかのようでした。
「遊びは魂の活動だ」という人がいて、まさに、この男の子の魂は活動していたわけです。
だれかに指示されるのではなくて、自分の「これがしたい」からでしか、魂は活動できないんじゃないかと思います。子どもが自分から創り出した、こういう、名もない時間もたいせつにしてほしいと言いたくて話が長くなりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
トビラコ店主より
————
お世話になっている方(聴覚障害、発達障害)が、立ち上げたクラウドファンティングが目標達成!しました。ご支援いただいたみなさま、ありがとうございました。
障害者の収入増を!各地でWebアクセシビリティ講習会を実施!
ーーーーーーーーーーーーーーー
小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に、月1回の連載をしています。
ーーーーーーーーーーーーーー
ウェブサイト以外でも発信しています。
Facebookはこちらから(日々、なんか発信しています)
LINE@はこちらから。イベントのお知らせなどもしております。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【香りお試し便のお知らせ】
tobiracoでは、発達障害の子のための「補完医療」として療育アロマを発売しています。
tobiracoの療育アロマって、どんな香りなの?
という方のためには「香りお試し便」(費用は切手代のみ)をお届けしています。
「香りお試し便」は、
専用の厚紙のスティック(試香紙)に「おだやか」と「きりり」の香りを染み込ませてお届けします。
ご希望の方は、返信用の封筒に84円切手を貼ってトビラコ宛にお送りください。
<返信用の封筒にお書きにいただくこと>
1)お届け先のご住所2)郵便番号3)お名前
84円切手が貼られていない場合は、お送りできませんのでご注意ください。
<宛先>
〒 145-0065
東京都大田区東雪谷1-12-1
Maison15 203
株式会社 tobiraco「香りお試し便」係
お申し込みいただいてから、ほぼ1週間以内にお届けできるようにいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
『発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー