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2020.02.26

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 

発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(松永正訓著 中央公論新社)は、お読みになった方も多いと思います。こちらでもご紹介しましたが、書店の発達障害本コーナーにぜひおいてほしい本です。
 
何度でも読み返すことができ、その度に発見があります。
 
著者の松永正訓(ただし)氏は小児外科医であり、作家でもあります。
『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』で小学館ノンフィクション大賞を受賞。ご自身のお子さんも難しい病気を抱えているそうです。なので、障害を抱えた子と親は、松永氏にとってまるっきりの人ごとではないわけです。
 
本に登場するのは、立石美津子さん親子。立石さんの息子さんは、重度知的障害を伴う自閉症。ご自身の子育て経験をもとにした多数の著書があり、講演活動も精力的に行っている方です。
 
その立石さん親子を、医師であり作家でもあり、障害について深く考え続けている松永氏がルポルタージュ。この組み合わせで、おもしろくならないはずがありません。
 

 
前置きが長くなりましたが、医師としての見地がそこここに散りばめられているのが本書です。医師が書いたのだから当たり前なんですが、それがとてもわかりやすくて、読者の頭にすっと入ってきます。
 
たとえば、聴覚過敏の感覚過敏については、次のように。
 
音に対する感覚が過敏ということは、外から入ってくる音という信号を受け入れる脳の枠が狭いということだ。だから枠がすぐに一杯になってしまうので、勇太君は耳を塞ぐ。同時に枠が狭いということは、入ってくる音の情報が多すぎると処理をしないということでもある。だから自閉症児は呼びかけても反応しないことが多い。事実上聞こえていないようなものだ。
従って自閉症児の感覚は過敏と、その裏返しの鈍麻があると言われている。入力情報が少ないと思えば自分から刺激を求めていく。そのため、手をブラブラさせたり、体を前後に揺する。
『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』より。
 
文中の勇太君は、立石さんの息子さん。勇太くんが飛び跳ねるのは、聴覚以外のバラバラに入力された感覚を飛び跳ねることでひとつにまとめようとしていると説明しています。これは専門的には「感覚統合」と呼ばれていますが、感覚統合という専門用語を使わずに解説しています。
 
専門家の説明だけどもわかりやすい、というのがこの本の特徴です。
 
逆に専門的な説明が必要なものについては、巻末に「発達障害を理解するために」として、大変にわかりやすく解説しています。
 
この本を1冊読むだけで、発達障害のことがよくわかります。法的なこと、DSM-5というアメリカ精神医学会の見解(これが、日本でも数年遅れで採用されます。ちなみに5は、第5版)、ICD-11という世界保健機関(WHO)の見解(こちらを採用する日本の医師もいます。11は第11版)などを、これまたわかりやすく解説。トビラコ店主は、この本で学びました。
 
松永氏が、この本で著したかったのは、立石さんを通して障害を受容するまでの過程です。
 
本書の最後の方「障害児を生まない検査」という章に「出生前診断」の話が出てきます。
 
「障害児だったら要らないから、この検査を受けるんでしょ? どんな子どもでも産む覚悟ならこの検査は受けないでしょ?」という医師の言葉が立石さんの胸に突き刺さる場面があります。
 
やがて、立石さんは「障害があってもなくても、育てる中で人は親になっていく」と悟ります。
ここが松永医師が、もっと言いたかったことなんだと思います。
 
本書は、2019年に、第8回日本医学ジャーナリスト協会大賞を受賞しました。まさに今の時代にふさわしい本だと思いました。
 
まだの方、ぜひご一読ください。
 
ここ数日、発達障害関連の本をご紹介しておりますが、これは、ある会社から頼まれて書店に発達障害のコーナーを作るためなんです。このようにして1冊1冊再読し、吟味し直し、やっぱりおすすめしたいという確認の作業でもあります。おつきあいいただいていた方がいらしたら、誠にありがとうございます。

 
 

トビラコ店主

 
 

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トビラコが編集した本
 
発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
 

 
 
発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)
 

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