トビラコへようこそ！
〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
わが子がどのような福祉のサービスを受けることができるのか、今だけではなくて将来まで見通したい。親なきあとも安心できるサービスを知りたい。
障害のある子の親なら、だれでもがそのように考えるでしょう。
自治体の窓口にあるのは、個別の案内パンフだったりするので、なかなか福祉サービス全体を見渡すことができません。
『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』（渡部 伸監修 自由国民社）は、障害のある子のすべての親が待ち望んでいた一冊です。
著者の渡部伸氏は、行政書士、社会保険労務士、２級ファイナンシャルプランニング技能士です。法的な問題、ややこしい書類提出のこと、就労のこと、お金のことすべてにおいて専門家です。
トビラコ店主は、渡部氏の「障害のある子の親なきあと」関連の著書は読んだことがあるのですが、今回の本が一番わかりやすいです。渡部氏は、以前の著書では、心配はごもっともだけど、なんとなるという気持ちが大事と述べてました。そうかもしれないけど、それではどうにも落ち着かないという親も多いと思います。
やはり、知っておくべきことを知り、受けられるサービスは受け、親なきあとにもわが子が安心して暮らせる見通しがほしい。これが本音でしょう。
なので、今回の本は渡部先生の気持ちの部分は入っていません。徹底的に福祉サービスや法的なことなどを解説しています。とてもわかりやすいつくりです。
目次がこちら。本屋さんで立ち読みする感覚で目を通して見てください。2000年にできた信託制度や、個人型確定拠出年金iDecoまで話が及ぶのは、ファイナンシャルプランナーでもあるからなんですね。いわゆる包括的な視点で作られています。そう、福祉は「包括的」というのがとても大切なんですよね。福祉サービス、医療、就労、お金などすべて生きていくうえで必要な情報です。
現時点では、おそらくこれ以上付け加えることはないのではないでしょうか。
手元に置いて、辞書を引くように、ことあるごとに調べてみることができます。
福祉は申請主義です。申請すれば適切なサービスが受けられるし、しなければせっかくのサービスも受けられません。そもそもどんなサービスがあるのかすら知らないことだってあるでしょう。
障害のある子を育てるというのは、そうでない親に比べて社会の仕組みを勉強せざるを得なくなります。でもそれは社会を、時に政治のあり方を、勉強するいい機会を与えられたと捉えることもできます。
社会の仕組みを知ろうとする人は主体的に生きている人です。子どもの理解力にもよりますが、ある程度の年齢になったら制度を教えてあげることも必要ではないでしょうか。いつも、誰かにやってもらうというのではなく。
知り合いの障害のある夫婦は、福祉のサービスをフルに活用しています。フルに活用しなければ死んでいた、と半ば冗談、半ば本気で話していました。障害者手帳があれば、高額医療機器だって申請すれば１割負担ですみます。公営住宅にも優先的に入居でき家賃補助もあります。住宅改造で補助費が出たりします（障害者手帳によるサービスいろいろのページに掲載）。だから、障害者手帳は絶対に取得しておくべきなんです。
日本は、「すべての人が、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が憲法で保障されています。そして、国は、社会福祉、社会保障の増進に務めなければならないと定められています。福祉サービスを受けることに遠慮することもためらうこともありません。ただし、そのサービスをこちらも勉強しなくてはならないということになりますが。本書は、そのための一冊です。よりよく生きるためのガイドブックといってもいいかもしれません。
トビラコ店主
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小学館の子育てサイトHugKum（はぐくむ）に連載していました。
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