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〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
母親の直感はあたることが多いです。
こんな話を聞いたことがあります。3歳(2歳か4歳だったかも)の息子が、なんとなく他の子と違うと悩んでいた母親。ママ友や近所の人に悩みを話すと「心配しなくても大丈夫。小さいうちは、みんなそんなもんよ」と言われました。
でも、その中で、ひとりだけ「心配だったら、専門家に診てもらった方がいい」と助言してくれる人がいました。で、診てもらった結果、自閉症という診断がくだり、早くから療育を始めることができたそうです。
専門家でもない近所の人の「大丈夫、心配しすぎ」に根拠はありません。
話は逸れますが、以前、小児科医から聞いた話です。
子どもの瞼がピクピクと動くことが気になったお母さんが、その小児科医を訪れました。検査をしてもどこも悪いところはありません。それでも、「いや、絶対に何かあるはず」と食い下がるお母さんに、小児科医はそんなにいうならと大きな病院を紹介し精密検査をしてもらえるように手配しました。すると、脳の血管の一部に小さな血栓があったそうです。緊急手術をしてことなきを得ました。
以来、その小児科医は母親の直感を大事にするようになったそうです。
この逆もあります。お母さんは、子どもに障害があるとは思っていないのに、専門家が障害があることを見抜く場合。専門家なので直感ではないんですけどね。でも、たくさんの子を見ていると、わかるんです。様子を見ただけで。子どもの写真を見ただけで、あてる先生もいます。
お母さんはなんとも思っていなかったのに、いきなり「お子さんに障害があります」と言われると、すごい衝撃を受けます。恨まれるかもしれません。
弟がそれでした。もう50代なので、いいおっさんですが。幼稚園で特に問題はなく、小学校1年生の途中から、担任に特殊学級(当時の言い方)にいくように言われて、母も私もその担任を一生許さないくらいの勢いで恨みました。
でも、今思えば、結果として、それでよかったのです。もしあのまま上の学年に上がっていたときの、弟が受けるであろう仕打ちを考えるとゾッとします。
ただ、当時は今ほど、療育的なものもなかったし、特別支援教育なんて言葉もなかった時代です。もっともっとフォローしてもらえていたらという気持ちはありますが。
弟の幼稚園時代にまで遡るとすでに、障害の芽はあったはずです。そもそも「てんかん」という持病をかかえ、薬で抑えていたくらいですから。でも、肢体不自由でもなく、友達とも遊べると「障害」は見逃されます。
発達障害、知的障害のことを少しは知るようなってから、思い返すと、いろいろと思い当たることはありますね。予定の変更が絶対にダメでかんしゃくを起こしたり、物を数えるのに、口と手が一致しなかったり。一度に二つことができなかったり。当時は「ビジョントレーニング」なんてものは、全くなくて、眼球の動きに何か問題があるなんで想像もしませんでした。
で、最近になって、試しに弟(なんども言いますが、もういいおっさんです)の眼球の動きを見たところ、やはり問題ありでした。
眼球の動きに問題があるかどうかは、こんなふうに試します。
あっち向いてホイみたいな感じで、指をゆっくりと左右(上下)に動かしたとき、眼球だけをキョロ、キョロとさせて、指先を追えるかどうか。眼球をうまく動かせないと顔ごと指先を追います。弟は私の指先の動きを眼球だけで見ることはできず、指先を右に動かすと、顔も右に動かしていましたね。
専門家の先生から「障害」を指摘されて、ショックを受けたとしても、その先生は子どものこと考えてのことなんです。親から恨まれてもいいから、伝えるべきことを伝えてくれているのです。カチンとくる言い方をする先生もいるかもしれません。デリカシーのない言い回しになるかもしれません。それでも、そこで言ってくれてよかったと、後になれば思うはずです。
だって、「お母さん、心配しなくても大丈夫」という方が、どれだけラクか。で、ちょっと気になるところがあっても「しばらく様子を見ましょう」ですませれば本当にラクです。でも、これ、専門家としてはどうなのなかなあと思います。
その子にあった療育や教育の道筋を助言してくれて、かつ「お母さん、一緒に考えましょう、心配しすぎないで」と言ってくれる専門家が、本当に寄り添ってくれる人だと思うのです。
今は、昔と違って、障害への配慮がなされるようになってきました。これからは、もっと配慮されるようになるでしょう。根拠のない「大丈夫」で、その場だけの安心を得るよりも、その子の将来を見通したうえで助言してくれる人と出会った方が、はるかの子どものためになると思うのです。
親の直感、専門家の直感(というか、ピンとくるもの)、どちらも子どもが発している無言のメッセージを受け止める力があるからこそではないでしょうか。
トビラコ店主
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