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2020.05.03

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 

軽い知的障害があると、こういうところで苦労するかもしれない、という出来事がありました。
 
弟は軽度知的障害です。今でいう特別支援学校(当時は、養護学校)卒業です。知的障害だけではなく、発達障害の要素もかなり強いことに、私がこの仕事をするようになって気づきました。
 
この時期は、何かと心配なので、毎日のようにショートメールをしています。毎日、メールが届くことがうれしいのか、ちょっとしたこともメールで報告してくるので、そこでいくつか気づくことがありました。
 
まず、敬語を使うことです。実家で母と暮らしているのですが、
 
「〇〇(自分の名前、以下同)です。母は元気です。心配しないでください」
「〇〇です。母は、〇〇〇〇したいと言っています」(お母さんと言わずに、母)
「〇〇です。残念ながら期待に答えることができません」(パターン化された言い回しが多い)
「〇〇です。〇〇さん(私の名前)におすすめしたい映画があります」(なぜか他人行儀)
 
口頭で話すときとはうって変わって、なぜ、そんなにかしこまるのかわかりません。私が、話し言葉で伝えると、少しずつそのような言い方もできるようになってきました。でも基本、敬語です。
 
敬語の件はさておき、ここからが本題です。
 
少し抽象的な言葉になると、どう答えていいのかわからないこともありました。
 
弟は、ある習い事をしていて、この時期は教室が閉鎖になったらしく、月謝を返すというハガキがきたそうです。
 
「返金の手続きは、どうするの?」と聞くと、
「返金のお知らせのハガキが届きました」。答えになっていません。
 
ああそうか「手続き」という言葉がわかりにくかったんだと気づきました。
でも、職場では気づいてくれる人ばかりではありません。
 
答えになっていない答えを聞いて、「人の話を聞いていない奴」と思われるかもしれません。
 
「手続き」を噛み砕きました。
「どうやって返金してもらうの? 振込先を教室に知らせるとか?」と、具体的な例をあげました。すると、
「教室から振込用紙が送られてきて、そこに振込先を書いて教室に送るみたい」(なぜか、カジュアルな言い方になっている)
 
「手続き」という、言葉で引っかかるとは思いませんでした。
これまでも職場で思わぬところで引っかかって、とんちんかんに答えていたのかもしれないなあと思いました。その結果、「人の話をよく聞いていない人間」と思われていたかもしれません。
 
「どう答えていいのかわからなくて、伝えられない」。「相手の言葉が理解できない」。
 
これは、軽度の知的障害の人の落とし穴かもしれません。誤解されやすいかもしれません。人の話を聞いていないわけでもなければ、やる気がないわけでもない。でも、聞かれていることがよくわからなかったり、伝え方がよくわからないだけ。
 
相手の言うことがよくわからないときは、「それは、どういう意味ですか?」とか「おっしゃっていることが、よくわからないのですが」とか、「手続き」がわからなければ「手続きというと?」みたいに、聞くことができればいいのですが。
 
自分に自信がないとそれができないということもあるかもしれません。バカにされるんじゃないかとか、相手にイヤな顔されるんじゃないかとか思うとできません。
 
自分が理解できなかったときや、どう答えていいかわからないときの対応は、課題のひとつですよね。
 
どう教えたらいいんでしょうかね。こうしたらいいという答えは思いつかないのですが、場数を踏むしかないのかなあと思います。弟の場合は、それがなかなかできなかったという事情があります。社会に出る前に学校の他に、いろいろな場(できれば、年齢の違う人間がいるところ)で、経験を積むのもいいですよね。
 
語彙(ごい)の問題に限っていえば、生活体験が豊かな子ほど語彙が豊富だそうです。つまりいろいろな場面を経験し、いろいろな人に出会って、そこで言葉を(使い方も含め)覚えていくわけです。
 
自分のわからないことを「言語化(言葉にして)」相手に伝えられるような体験も、そこでできるかもしれません。「手続き」ということがわからなかったら、「手続きって、たとえばどいうことするんですか? と聞けばいい」と教えればよかったかもしれないと思います。少し丁寧に、こんな時は相手にこのように聞くといい、ということを教えることが大事かなと、メールでやりとりすることで、今まで気づかなかったことに気づかされました。
 
答えに窮していたり、答えがズレている場合は、会話の中のどれかの言葉を理解できていないかもしれないと気づくことは、少なくとも必要かなと思います。そして、「そんなことも知らないと社会に出て困る」みたいな脅しは禁物ですよね。わからないことは「聞いていい」という安心できる環境を。
 
 
 
 

トビラコ店主

 
 

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