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2020.05.31

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 

こちらの「店先」で、本やグッズをときおりご紹介しています。
 
誰かに頼まれたわけでもないし、出版社やメーカーからお金をもらっているわけでもありません。でも、いいものはどうしてもすすめたくなってしまう人間なので、読み流していただいて全然構いません。
 
ですが、こちらで紹介したものを買ってくださって、感想をいただくことがあって嬉しい反面、大変恐縮してしまいます。
 
今回は本のご紹介がてら、どのようにして私が本を選んでいるかについて、自分の頭を整理する意味でも、こちらに書き留めておきます。全然参考にならないかもしれませんが、こんな選び方もあるんだということを知っていただければと思います。
 
特に発達障害など障害関連の本を選ぶときは、何よりも信頼できる著者の本であることです。信頼のおける著者とは、長年にわたってその世界で仕事をしている方です。
いろいろなタイプの子どもの成長を見て、いろいろなタイプの親、いろいろなタイプの支援者たちの話を聞くためにはそれなりの年月が必要です。
 
20年、少なくとも10年以上にわたって、発達障害の子を現場でみてきて本を書ける人は、じつはそれほど多くはないと思います。「発達障害」が知られるようになったのが、ここ10年くらいですからね。
 
学校の先生といえども特別支援教育について語れる先生はそれほど多くはありません。また、お子さんが発達障害で、特別支援士の資格を持っていてセミプロのように語る方でも、本を乱発していくうちに、残念な内容になってしまうことがあります。これはご本人のせいではないと思います。出版社の側の事情によるものでしょう。
 

なので、自ずと私が選ぶ本というのは数が少なくて、新刊でもないことが多いのです。Amazonの順位も関係ありません。
 
長すぎる前置きですが、久しぶりに中川信子さん(言語聴覚士)の『Q&Aで考える保護者支援ー発達障害の子どもの育ちを応援したいすべての人にー』(中川信子著 学苑社)を読み返して、やっぱりこれは多くの人に読んでいただきたいと思いました。以前、こちらでご紹介しているので、すでにご存知の方もいらっしゃるでしょうね。
 

 
保護者であれば、「よき理解者」「よき支援者」とはどういう人なのかがわかります。障害のある子と親にとって「よき理解者」「よき支援者」に巡りあえることは何にもかえがたいことです。
 
また、支援者であれば、保護者にとって「よき理解者」「よき支援者」でいるために何が必要なのかがわかると思います。タイトルの通り相談形式なので、話がとても具体的。
 
その中のひとつ、これを読んだら若いときの母が救われたであろう回答がありました。
 
5歳の子どもを施設に預けたいという保護者の相談に、どう答えたら良いのかという療育施設の支援員の相談です。
 
「誰かれ構わず引っかく、髪をむしる、暴れる、奇声をあげる、カーテンを引きちぎる、ガラス戸を何回も割る、夜は寝ない」という5歳のお子さんに、同居の祖父母含め家族中が疲弊し、「施設に預けたい」というお母さん。とても真面目なお母さんで、思いつめた様子で支援員に相談されたそうです。
 
私は、この相談の内容を読んで、胸がつまる思いでした。奇声をあげ、ガラス戸を割る子の姿が妹の小さいときと重なったからです。言葉を発することができなかった妹は、自分の思いが伝わらないストレスがあり、今思えばかなりの感覚過敏があったこともあり、夜も寝ることができずにつらかったと思います。でもそれを理解できなかった家族もまた大変でした。わが家をよく知っている方が、見かねてとてもいい施設を紹介してくれたので救われたようなものです。妹10歳の時です。
 
虐待をしてしまう親を私は人ごととは思えないのです。あのまま、誰も助けてくれなかったら母だって虐待していたかもしれません。虐待の地平線上にどの親もいるのではないでしょうか。
 
今でも、母は自分に言い聞かせるように「〇〇(施設の名)に行けてよかったよね。家にいたらできない体験がたくさんできているもんね」とよく口にします。親としては、娘を見捨てたわけではない、最良の選択だったと確認したいのでしょう。でも、心のどこかに後ろめたい気持ちがくすぶり続けているのだと思います。
 
で、中川さんはどのように答えたのでしょうか。ちょっと長くなりますが、引用します。
 
私はこいう場合、いつも、まず、「私がお母さんだったら、どうだろう?」と想像することにしています。このお母さんは、大変な状況の中、ここまで持ちこたえてきたこと自体がすごい。「大変でしたね、よくがんばりましたね!」とねぎらってあげたいです。「努力家」が発してくれたSOS、大切に受け止めましょう。(『Q&Aで考える保護者支援ー発達障害の子どもの育ちを応援したいすべての人にー』より)。
 
中川さんは、子育ては本来社会全体の責任であるから、手のかかる子育てには手厚い援助システムがあるべきであり、施設入所も淡々と選べるといいと思う、と述べています。
 
福祉に携わっている人でさえ、子どもを施設に入れることを問題視する方もいます。こういう人に対しても中川さんは、ここまで頑張ってきたお母さんにのしかかる「母性神話」に怒りさえ覚え、違和感があるとはっきりと述べています。
 
私が中川さんを信頼しているもうひとつの理由は、このように「手のかかる子を育てている親」を決して孤独にしてはいけないと考えている人だからです。

 
 
 
 

トビラコ店主

 
 

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