お知らせ一覧

2020.06.01

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 
不安を魔法のように払拭してくれる人がいるかもしれない。自分はまだそういう人を知らないだけかもしれない。
 
不安に押しつぶされそうになったりすると、そんな風に思ってしまうことがあります。そしてそこにつけ込む人たちがいます。私はつけこまれたことがあります。なので、みなさまもご用心をという話です。
 
●騙されそうになった話
 
重度の知的障害のある妹に、直腸粘膜下腫瘍(ガンではない、ガンもどき)が見つかったのは3年前のことです。病院の先生は、「しばらく様子を見ましょう。腫瘍がどのくらいのペースで大きくなるかわかりませんからね。大きくなるようなら手術で人工肛門になります」と言われました。
 
「人工肛門」という言葉を聞いて、私は不安でたまらなくなりました。重い知的障害のある妹が人工肛門を扱うことは難しく、医療ケアのある施設に入らなければなりません。人工肛門以外に方法がないのか。最初の病院の他に2つの病院でみてもらいました。2つの病院とも「手術して人工肛門」という結論でした。そのうちの一つの病院は、いますぐに入院手続きをとらんばかりの勢いでした。ネットで検索してみると「人工肛門にしなくて後悔した人の話」がたくさん出てきます。不安に拍車がかかりました。
 
絶望的な気持ちでいた時に、ある人の紹介で障害のある子とその家族をサポートをしている女性に会いました。その人はご自身のご家族にも障害のある人がいます。私の話をとても親身になって聞いてくれました。時には涙を流しながら聞いてくれたのには驚きました。泣くほどの話かなあ、とちょっと不思議な気がしました。
 
彼女は、私の妹に会って「〇〇エネルギー」を与えたいと言いました。それは宇宙全体のエネルギーなんだと言います。こうして書くと、怪しいですよね。100%怪しいです。でもその時は藁をもすがる思いだったので、それで手術しなくてすむならと思ってしまいました。
 
もちろん無料ではありません。有料です。目玉が飛び出るほど高額ではないけれど、安くもありませんが、すぐに支払うことができる金額です。
 
家族にそのことを話したら、猛反対されました。当然ですよね。
 
その人に事情を話して断ったところ「いいんですよ。ご家族に理解してもらえない人はいますから」と感じよく引き下がってくれました。でも、「妹さんの写真をメールで送って」と言われたので送ったら「体が冷えてます」と言われました。携帯の写真を見て、なぜそれがわかるんだろうと普通は思いますよね。でも、その時点でも「そうか、冷えているのか。やはりあまり良くない状態なのかもしれない」と思ってしまった私はまだその人をどこかで信じていたのです。これは無料でした。
 
妹がすぐに手術をしなかったのは、3番目に見てもらった病院の先生に「人工肛門になっても、食事はちゃんとできるから、歯の治療が必要ならそちらを先に」と言われたからです。
「今すぐ手術しなくても大丈夫。歯の治療が終わってから腫瘍の大きさを見ましょう」と含みのある答えでした。そこに、私はわずかな希望をもちました。もしかしたら手術を回避できるかもしれないと。
 
歯の治療は、思いがけず時間がかかり、結果としてそれが幸いしたのでした。1年後、腫瘍が見つかった最初の病院で再検査したところ、なんと! 腫瘍がなくなっていたのです。先生によると、大きくなったり小さくなったり、なくなったりすることはあるそうです(それを最初に言ってほしかった)。だから「様子を見ましょう」と言ってくれたんですね。あまりの想定外に力が抜けました。そして、つくづく急いで手術をしなくてよかったと心の底から思いました。
 
最初から、この病院の先生のいうことを聞いて「様子を見て」いればよかったのです。でも、この先生は、失礼ながら風貌がパッとせず、ボソボソと話す人でどうも頼りなく見えました。ただ、看護士さんたちからは信頼されていたんですけどね。頼りない先生ではなく、別の先生に診てもらおうと思ったのが間違いでした。
 
なお、これは妹の場合の話であって、誰にあてはまるわけではありません。腫瘍といっても粘膜下腫瘍といって、いわゆるガンではなく「ガンもどき」だったので様子を見る猶予がありました。
 
私が、ここで言いたかったのは、不安に駆られて藁をもすがる思いでいる時は、普段なら信じないことでも簡単に信じてしまうということです。こういうときは、一人で決断せずに、必ず周りの人、できれば家族に相談することです。冷静に見ることができる人が必要です。もし、あの時、私がお金を払って妹を見てもらったとしたら、手術を回避できたのは「〇〇エネルギーのおかげ」と思い込んでいたでしょう。普及活動をしていたかもしれません。
 

●発達障害の子をもつ親の不安につけ込む悪徳カウンセラー
 

長々と書いてきましたが、ほんとうにお伝えしたかったのは、このブログです。ある信頼できる人がFacebookにアップしていて知りました。
 
発達障害や精神疾患を標的とするカウンセリング詐欺等の特徴をまとめてみた
 
たとえば、ブログで例に挙げられているように、次のように言われたらどうでしょうか。
 
「治りますよ。後遺症もなくきれいさっぱり治ります」
 
魔法のような言葉です。うっとりしてしまいます。これこそが聞きたかった、待ち望んでいた言葉。なんで、もっと早く出会わなかったのだろう、この人についていこうという気持ちになった人を、私は責めることはできません。先ほど述べたように、私自身、弱みにつけ込まれる弱い人間だからです。

 
このブログに書かれているように、「カウンセラー」というのは言ったものがちです。資格は不要です。たとえば、私が「発達障害研究会」なるものを立ち上げて、「発達障害研究会公認 心理カウンセラー」と名乗ることだってできてしまうのです。
 
というくらいに、心理カウンセラーというのは曖昧な位置づけです。これに対して「公認心理師」は国家資格(厚生労働省)です。心理学をきちんと学び、知識もカウンセリング技術も習得して試験に合格した人だけが「公認心理師」を名乗って仕事ができます。「臨床心理士」も民間資格ですが、名乗ることができるのは資格のある人だけです。
 
「心理カウンセラー」「〇〇カウンセリング」をしている人に恨みがあるわけではありません。いい支援ができる人もいるでしょうし、話を聞いてもらえるだけでもいいという場合は資格なんて不要です。
 
でも相談しアドバイスがほしいという時は、やはり長年、発達障害のある子をみてきた専門職の人でしょうね。児童精神科医、言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士、公認心理師。学習なら学校現場で支援をしてきた人たちではないでしょうか。ついでながら障害に詳しい専門職であっても、発達障害にはあまり詳しくないという人がいるということは頭の隅に入れておいてもいいかもしれません。
 
余談ですが、私が危うくなびきそうになった〇〇エネルギーの会。ネットで調べたところ、最近はとんと活動をしていないようです。

 
 
 
 

トビラコ店主

 
 

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