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2020.08.23

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 
 

神よ、変えられないものを受け入れる冷静さ
変えられるものを変える勇気
そのふたつを見分ける知恵を与えてください。

 
 

障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本-ダウン症の娘をもつ「相続のプロ」が明かす財産管理のしくみ』(鹿内幸四朗著 杉谷範子監修 大和出版 2020年8月31日)の中で、著者の鹿内さんが行動の指針としてあげていたのが、冒頭のニーバ(神学者)の祈り。
 
この言葉に深く感銘を受けた私は、ニーバの祈りを調べてみました。すると、次のような訳がみつかりました。
 
神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。

 
ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)
 
 

 

鹿内さんは、わかりやすく意訳してくれたのかもしれませんね。意味は同じです。変えられないことにじたばたするよりも、変える可能性のあることに目を向けて、あきらめてはいけない、ということを鹿内さんは語っています。
 

●「うちの子が、こんな理不尽な目にあっていいはずがない」と思い続ける

 
この本から離れますが、「あきらめない」ということを、私なりに解釈すると、「この子が、こんな理不尽な目にあっていいはずがない」です。そしてこのことをいつも思い続けていることが、大事なんじゃないでしょうか。
 
私が出会った、障害のある子の親の中にはあきらめずに自体を好転させた人は何人もいます。
 
「うちの子が、学校でこんな理不尽な目にあっていいはずがない」
「うちの子は、勉強ができないわけじゃない。いまの学習法が合わないだけ、もっと何かいい方法があるはず」というように。
 
障害は変えられないかもしれません。でも障害を取り巻く状況は変えることができます。そのことによって事態をいい方向へ持っていくこともできます。
 

●あきらめないで、重度知的障害の妹を病院に連れて行った話
 
とても卑近な例ですが、私も経験があります。ほんとにささやかな出来事です。
 
重度の知的障害のある妹が膝の痛みを訴えました。夜だったので、近所の救急病院で診てもらえるように電話をかけたところ、当直の先生は障害のある人を診たことがないとのこと。意思の疎通ができるかどうか、できないときはどうするかなど事細かに妹の様子を聞いてきました。それは決して、診察したくないということではないのです。でも、電話でのやりとりをそばで聞いていた母は、「もう、あしたにしよう。あした診てもらえばいいよ」と横で私にあきらめるよう促しました。
 
障害があるからといって診てもらえないはずはありません。そんな理不尽な目に妹を合わせるわけにはいかないとも思いました。
 
電話の後、病院に連れて行くと、とても感じのいい先生で診察も丁寧。なぜか胸のレントゲンを撮り、MRI、血液検査など、そこまでしてくれなくてもいいのにというくらいに徹底的に診て痛みの原因を探ってくれました。そして痛みどめを出してくれたのでした。意思の疎通ができないから誤診があってはいけない、との思いだったのでしょう。
 
電話で事細かに聞いたのも責任をもって診察したいからだったと思います。看護師さんにも妹のことは伝わっていました。でも、もし、私があきらめていたら、妹は一晩中、膝の痛みに耐えなければなりませんでした。あきらめなくてよかったと、その時は思いました。
 

夕焼けがきれいだとつい撮ってしまいます。

 
 
さらに、遡ること20年近く前。妹はすべり症といって、脊椎の何番目かがずれて、このままだと歩けなくなるかもしれないと言われました。でも病院からは、妹のような障害のある子の手術はしたことがないとも言われました。でも、だから手術したくないというのではなかったのですが。
 
「手術」と聞いて腰が引けてしまった両親を、私は説得し手術してもらいました、手術は大成功で、先生たちもとても喜んでくださいました。そして病院も前例ができました。手術を快く引き受けてくれた先生、いまでは腰の手術の第一人者として有名になりました。それはともかく、もし、あの時、あきらめていたら妹は今頃歩けなかったかもしれません。
 
母は私より上の世代で、「障害があるからと、あきらめてきた」世代かもしれません。
 
でも「障害があるからと理不尽な目にあっていいはずがない」ということを常に思い続けていると、何か打開策は生まれるものです。
 
障害は変えられないけど、取り巻く状況は変えることができるというのは、ほんとうです。

 
 

トビラコ店主

 

 

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