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「状況がわからないと不安」というのは誰でもが経験していることです。
新型コロナウイルスの感染が、今後どのようになるのかわからない。
台風が今後、どのくらいの被害をもたらす大きさになるのか、わからない。
電車が遅れているけど、なぜ遅れているのか、いつ発車するのかわからない。
このように「状況がわからない」と、不安になります。
発達障害・知的障害の子は、「状況がわからない」ことからくる不安に、日々晒されていることに、あらためて気づかされたのが、愛読書でもある「月刊 発達教育」(公益社団法人 発達協会)の9月号です。
今月号は「不安が強い子どもへの理解と対応 ー神経心理学の視点からー」という特集です。
まず、なぜ不安になるのか、どのようにして解消しているのかについて。
状況がわからない(予測の困難さ)→不安が発生(過剰な緊張)→解消行動(逃避・回避)が生起→不安が低減・解消。ということなんだそうです。ちょっと専門的ですが、要は発達障害・知的障害のある子が、どのような時に不安を感じるのか、そしてどのようにして解消しているのかのプロセスです。いくつかの事例が出ていました。
たとえば過剰は緊張から逃れるために自傷行為に出ることがあります。体を傷つけて強い刺激を体感することで、過剰な緊張をやわらげるんだそうです。
この事例、胸が痛みます。重度知的障害のある妹が、自分の頭のてっぺんを血が出るほどかきむしっていた時期がありました。当時は理由がわからず「痛いから、やめようね」と言ってやめさせていました。でも痛さを体感するために、つまり不安からくる緊張を回避するためにやっていたんですね。状況がわからない不安、自分がしてほしいことが伝わらない不安やもどかしさがあったのでしょう。当時、それを知っていたら、もっと違う対応ができたいただろうと思います。
落ち着きのなさ(体を動かす)も、不安解消行動のひとつ。体の運動で緊張をやわらげようとしているそうです。常同行動(繰り返しの行動)もまた、それをすると安心するからだそうです。つまり不安を解消するためにやっているわけです。
なので、こうした行動をやめさせるのではなくて、まずは「状況がわからない」を解消することが先だし、もっといえば「状況がわからない」環境をつくらないことが大事ですよ、と特集に書かれていました。
その事例として、5歳の女の子の事例も、なるほどと思われるものでした。
女の子は、他の子と交わろうとしないので、ASDと診断されました。一方で別の見立ては、落ち着きがないので、ADHDと診断されました。
でも、これはどちらもズレた診断でして、先生の指示や他の子の会話がよく理解できない、コミュニケーションの不安からくるものだったのでした。そこで、先生が女の子の言語の状態に合わせて短い言葉で話すようにしたところ、女の子の表情がやわらぎ、笑顔を見せるようになったそうです。
このように、じつは「コミュニケーションの不安」が原因なのに、ASD、ADHDと診断されてしまう子は多いそうです。
診断名ありきで〇〇療育、〇〇トレーニングがもてはやされています。でも、そこに子どもを合わせるのではなく、子どもに合わせた対応が大事ということを改めて感じさせてくれる記事でした。
トビラコ店主
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
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