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2020.09.09

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 
お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

 
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診断名ではなく、その子の「困り感」に配慮を。
 
昨日に引き続き、本田秀夫先生(精神科医・信州大学附属病院子どものこころ診療部長)に取材させていただいた6〜7年くらい前の話から始める「店先おしゃべり」です。
 

「困り感」に配慮は、もっともな話だと深く納得しました。と言いつつ、じつは、当時の私は、発達障害にそれほど詳しいわけではありませんでした。いまでも、あまり偉そうなことは言えませんが。当時は、詳しくないなりに、困り感優先と聞いて、当然と思いました。のちに、特性に詳しすぎることがかえって弊害になることもあると知るようになるのですが。
 
まだ、途中なのですが、『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(本田秀夫著 SB新書 2018/12/6)を、読んで、なぜ本田先生が、診断名より「困り感」とおっしゃったのかが、ようやくわかりました。
 

 
ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動症)は、重複しているケースがとても多いそうです。ASDと診断名がついたとしても、ADHDの特性も持ち合わせているため、どちらか一方の診断名だけに合わせて支援をしても、その子の困り感が解消されない場合があるわけです。
 
ASDには「こだわり」、ADHDには「不注意」という特性があります。でも重複していると、ふたつの特性がせめぎあうようになります。ASDと診断された子が、あるひとつのゲームに「こだわって」やり続けながらも、別の好きなことに気を取られて「不注意」になることもあると、本田先生は著書で語っています。本田先生ご自身も重複の傾向があるとか。
 

むしろ、純粋なASD、ADHDの特性の方が少ないそうです。もちろん、いないわけでありません。
 
なぜ、そうなったかというと、アメリカではASD、ADHDそれぞれに特化した研究者がいて、それがそのまま日本に入ってきたかららしいです。
 
でも、今、本家本元のアメリカもだいぶ変わっているのではないでしょうか。手元に詳しい資料がないのですが、そう聞いたことがあります。やはり「困難さ」を中心に支援していくようです。「コミュニケーションに困難」があるとか「日常生活に困難はない」といういうように。
 

 
特性の知識はあった方がいいとは思います。なぜ、そのような行動に出るのかがわかるようになりますからね。でも、人間、そう単純ではなく、様々な特性のせめぎ合いです。だから、診断名で判断せずに、「困り感」に目が向けましょうという話です。
 
発達障害の特性なんか全然知らない、おじいさんが孫に「この子は、こうしているのが一番好きなんだよ。飽きるまでやらせておきな」とか「電車(のおもちゃ)並べていると落ち着くんだよ」とか、その子にあった「環境づくり」をしていることがあります。これって、先入観なしに、子どもをよく見ているということなんでしょうね。子育て雑誌編集者時代に、発達障害のお子さんのお母さんからいただいた読者ハガキに書かれていました。だから、その子もおじいさんが大好きだそうです。おじいさんが「良き理解者」なわけです。
 
特性に詳しい人が必ずしもいい支援ができるわけではなく、子どものちょっとした表情や仕草の変化を見逃さず、困り感がよくわかっていたり、どんなときに子どもが喜ぶのかを知っている人の方がいい支援ができるのような気がしますね。理想をいえば、特性についての知識や情報をアップデートしながらも、その子の困り感の解消を優先できる人ですよね。
 
 

トビラコ店主

 

 

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