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人の中に入れない子に対して、「コミュニケーション能力に問題あり」とされがちです。
先日は、相手の話している内容を理解できないから人の中に入りがたらないことがあるということをお伝えしました。
もうひとつありました。聴覚過敏です。人の中に入りたくても入れないんです、うるさくて。
音環境の研究をしている先生から聞いた話によると、保育園は80〜85デシベル。工場なら耳栓をするレベルらしいです。
子どもの元気が声がいいという人と、うるさいという人といます。子どもの声をうるさいというのはけしからんというのは聴覚過敏の人にとっては酷です。世の中には、子どもの声が苦手という人もいるし、保育園レベルだと耐えられない人もいるわけです。
それはともかく、保育士さんだと軽い難聴になるケースもあるそうです。
小学校はどうかというと、体育館での音の反響は聴覚過敏の子には厳しくて、イヤーマフなしでは入れないレベル。
体育館のスピーカーを叩き割ってしまった特別支援学校の生徒もいます。爆弾くらいの大きな音に聞こえたのかもしれませんよね。以来、その生徒は、体育館に入るときは、自分からイヤーマフをするようになったそうです。
人の中に入れないのは、聴覚過敏が原因なのに「コミュニケーション」の問題として支援されてしまうと、かなりズレてしまいますよね。場合によってはその子にとって苦痛でしかない支援になってしまう可能性もあります。
聴覚過敏の話が出たので、ちょっと脱線します。
聴覚過敏のことを知ってから、言葉を発することができない重度知的障害の妹は聴覚過敏だと気づきました。音がするとビクッとすることがあるからです。ダイニングの椅子を引く音、食器棚の食器と食器がぶつかる音などです。この二つは解決できます。
椅子は足にカバーをして引いても音がしないようにすればいいですし、食器棚は可能なら突っ張り棒にオーガンジーの布かけて仕切りを作ると、音がやわらぎます。オーガンジーは防音性があるそうです。
妹と地下鉄のコンコースを歩いていた時のことです。途中、大がかりな工事をしていました。すると妹は顔をこわばらせて強引に別の通路へと私の手を強くひっぱりました。そっちの通路も工事の音が聞こえるので、一番近い地上出口から脱出して難を逃れたところ、妹は心底ホッとした顔になりました。あの時、私の手をぎゅっと握りしめた感触からも、よほど怖かったんだなと思いました。
大きな音が恐怖でしかない聴覚過敏の子がいるんですよね。ただ、妹の場合、音楽は大好きなんで楽器は大丈夫です。むしろ好きです。でも楽器の音が苦手な子もいるかもしれません。人によって苦手な音は違うと思います。どの音が苦手なのかは、よく見ているとわかるし、なんなら動画をとって後から繰り返し見ると、どこかの場面でビクッとしたり、表情が変わることがあります。そのようにして気づけることもあると思います。
話を戻しますと、コミュニケーション力の問題ではなく、人の中に入れない事情を抱えている子がいることはもっと知られていいことなんじゃないかと思いますね。
トビラコ店主
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
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