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(昨日、配信のメルマガの記事を再掲します)
「甘やかさないの!」「わがまま」
このように言われたことがある方は少なくないでしょう。
小児科医に「お母さん、甘やかしすぎ」
と怒られた感覚過敏の子のお母さんを知っています。
発達支援に心を砕いている保育士さんでさえ、
まわりからそう言われることがあるそうです。
「甘やかすな」という言葉に、どこかトゲのようなものを感じてしまいます。
ずいぶんと前になりますが、私が好きなドラマでこんな場面がありました。
母親を早くに亡くした子と父のドラマです。
母親がいないことで、躾が行き届いていないといわれて肩身の狭い思いをしている父親。あるとき、子ども同士のちょっとしたもめごとに、近所の父親が文句をいいにきます。「母親がいないから甘やかされているんだ」と言われ、それまで平身低頭していた父はいきり立ちました。そして「親が甘やかさないで、だれが甘やかすんですか」と言い返します。その迫力に気圧されて引き下がる相手の父親。
外でつらいめにあった子どもをうけとめてあげられるのは、やはり親。普段は些細なことで親子ゲンカをしていたとしても、です。
甘やかしていると思われるくらいがちょうどいい。
児童精神科医の佐々木正美さんは、このように話しました。佐々木さんの息子さんは自閉症です。佐々木さんが亡くなる数年前に直接お話を聞く機会がありました。
「手をかけ、心をかけるのは、甘やかしていると思われるくらいでちょうどいいんじゃないでしょうか」と話す佐々木さん。
子どもがいつでも願いや助けを求められる親子関係を築くことが大事。愛されて育った子どもは決して無理な要求はしないし、わがまままな子にもならない、というのです。
発達障害のある子は、「配慮」が必要なことがあります。でも、それは決して「わがまま」ではなく、手をかけ、心をかけるということに通じるのではないでしょうか。
佐々木さんは、息子さんが小さい頃からずっと通っていた絵画の教室の先生の話をされました。
先生の話を聞いて初めて息子さんは恐竜の絵しか描かなかったことを知ります。
「これまで申し上げませんでしたが、どんなに私が指導しても、お子さんは恐竜の絵しか描きませんでした。でも、それでいいと私は思いましたので、お子さんが描いた作品をそのまま受け入れて、その作品に対して指導をしていました」
これを聞いた佐々木さん夫妻は、絵画教室の先生に頭が下がる思いだったそうです。その後、息子さんは好きな絵を続けて、アニメーションの制作の仕事をするようになりました。佐々木さんは、あの時の先生のおかげと考えているようです。
興味関心がひとつのものだけに向くのは、自閉症の特性のひとつです。絵画の先生がそれを知っていたのかどうかは、わかりません。でも、無理に他の絵を描かせることをしないと決めた先生は、息子さんに心をかけていたといえるのではないでしょうか。
冒頭の発達が気がかりな子に手をかけていた保育士さんですが、卒園して5年後、ばったりと街で、その子に会いました。すると、保育士さんに抱っこされたことをよく覚えていて、当時のことをうれしそうに話してくれたそうです。乱暴者で知られたその子が覚えてくれていたことが、とてもうれしくなって思わず涙したとか。
自分に、手をかけ心をかけてくれた人のことは、覚えているものなんですよね。それが生きる支えになることだってあるでしょう。
「甘やかし」ということばに萎縮せずに、子どもに良いと思ったことはしてあげてほしい、と思います。
(参考文献:『発達障害 あんしん子育てガイド』小学館)
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