お知らせ一覧

2020.10.24

「トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

——————————–


 

(昨日、配信のメルマガの記事を再掲します)
 
いま10代〜20代前半の発達障害を抱えた人たちは、支援を受けた第一世代といえます。
 
発達障害が認知されるようになり、障害者差別解消法が施行され、障害のあることで教育の格差がでない配慮(合理的配慮)が受けられるようになった世代です。
 
重度の識字障害の高梨智樹さんもまさに、この世代。
 
文字がアラビア語のように見えて、ご本人によれば「すべてが謎の形」だとか。
 
知的な遅れはなかったのですが、体が弱いこともあり中学校は特別支援学校へ通いました。
 


 
知的な遅れがないのに「特別支援学校」。不思議に思われるかもしれません。何も特別支援学校じゃなくても、公立の中学校で特別クラスに通えばいいじゃないかと思う人もいるでしょう。
 
智樹さんの母親の朱実さんも、当初は同じ気持ちでした。
 
小学校の教頭先生に「中学校は特別支援学校へ通ってはどうか」すすめられて、ショックを受けます。
 
特別支援学校に通うことで「障害者」のレッテルが貼られてしまう。この先、就職だって難しくなるかもしれない、と。
 
朱実さんは、当時の思いを次のように語っています。
 
「当時は私自身に、障害に対してや、特別支援学校へ行くことへの差別意識が、自覚なくあったのかもしれません。悪気なく障害者と健常者を分けて考えてしまっていたのだと思います」(『 識字障害の僕がドローンと出会って飛び立つまで 文字の読めないパイロット』高梨智樹 イースト・プレスより)
 

母・高梨朱実さん

 
ショックが大きすぎて抱えきれず、朱実さんは実家へ向かいます。自分の両親に特別支援学校行きを反対してもらうためです。
 
ところが、父親からは意外にも、「その子にあった環境を選んだだほうがいい」と言われました。
 
父がそう話すのには、わけがありました。
 
戦後の混乱期に、子ども時代を過ごした父親は1クラス60人の大人数の教室で学びました。クラスメイトの一人に弱視の子がいたそうです。当時は、「配慮」などあるはずもなく、そのクラスメイトは勉強に遅れが出て、いじめられるようになります。
 
そこで盲学校に通うのですが、盲学校では、弱視どころか目の見えない子がたくさんいます。彼はその子達を教える立場になり、自信をつけていきました。その後、ぐんぐんと成績が伸びて、いい学校へ進学し、立派な仕事をするようになったそうです。
 
その話を聞き、朱実さんは親のエゴで学校を選ぶのはおかしいと気づきました。
 


 
では、当の智樹さんはどう感じていたのでしょうか。
 
智樹さんは、中学は特別支援学校を強く希望していました。
 
地元の公立中学に進んだとしても、自分だけが特別クラスに行くのが嫌だったし、「支援が必要な子」とみられることに耐えられないと思っていたからです。
 
いろいろな事情があって、最初のうちは公立中学に籍を置き、月に1回だけ公立中学に顔出しをしました。するとクラスメイトに「どうしてなの?」と、体調を崩して遅れると「なんで、遅れてくるの?」と聞かれます。これが智樹さんには、とてもストレスだったそうです。
 
そこへいくと特別支援学校は、智樹さんの事情をすべて理解し、智樹さんに合わせた授業をしてくれます。智樹さんにとって、これほど居心地のいい場所はありませんでした。結局、特別支援学校を通して、障害のある子への学びの機会を与えている東大先端研の「DO-IT Japan」に参加し、いまにつながります。
 

合理的配慮のもと、学校によってはさまざまなクラスがあります。これ自体は、悪いことではないし、その子の抱えている課題にあった教え方をしてもらえるのは、とてもいいことだと思います。
 
でも、やはり、当の本人の意向はどうなのかなと、思うことがあります。
智樹さんのように、自分だけがクラスから「取り出されて」別のクラスに移ることを耐えられないと感じる子もいるでしょう。
 
智樹さんは識字障害であったため、先生が途中から問題を読み上げてくれたそうです。でも、自分だけそれをされることに抵抗があり、途中から「棒読みくん」というソフトを使うようになります。
 

 
その「配慮」が、子どもが望んでいる配慮なのかどうか。
発達障害の支援を受けた第一世代が、そろそろこのあたりのことを発言してくれるようになるんじゃないでしょうか。
 

高梨さんの話は、トビラコのサイトに掲載しています。
 
「できないこと」をがんばるより、「できること」を伸ばせばいい
 

 
 

*メルマガは、会員の方全員にお送りしています。

*会員登録はこちらから。お買い物いただかなくても登録できます。

 

 
 

トビラコ店主

 

 

********************************

小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
********************************

ウェブサイト以外でも発信しています。

Facebookはこちらから(日々、なんか発信しています)

LINE@はこちらから。イベントのお知らせなどもしております。

友だち追加

********************************

トビラコが編集した本
 
発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
 

 
 
発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)
 

********************************