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2020.10.27

「トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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福祉は申請主義です。自分から申請しないと受けられないサービスがほとんどです。たとえば「福祉手帳」(障害の種類によって呼び方は違います)も申請しない限り取得できません。
 
 

福祉手帳をもっているメリットは計り知れないのに、です。福祉手帳があれば、生涯にわたって、さまざまなサービスを受ける権利を享受できます。もちろん、親亡き後も。
 
 

手帳を取得すると「障害者」のレッテルが貼られて抵抗があるという人もいるようです。とくに身体障害も知的障害もない、発達障害の子の親に多いと聞きます。でも、やはり手帳は取得しておくほうが後々のためにもいいと思います。デメリットはありません。他の人に知られたくないなら、手帳をもっていることを言わなければいいだけの話です。
 
 

身分証明の代わりにもなりますが、役所で出すのに抵抗があるなら、マイナンバー カードですべてすみます。マイナンバー カードには障害のあるなしは記載されません。そんなわけで、軽度知的障害のある弟もなにかというと役所の手続きにマイナンバーカードを活用しています。
 
 

福祉は申請主義の話にもどります。
 
 

どんなサービスを受けられるのか、そのために何を申請したらいいのか。このあとご紹介する『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』(親なき後相談室主宰 渡部伸監修 自由国民者)に詳しく書かれています。1,500円+税、1冊もっていて損はありません。
 
 

『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』(親なき後相談室主宰 渡部伸監修 自由国民者)


 
 

著者の渡部さんは行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランナー技能士です。そして何より、お子さんが重度の知的障害であるという点で、障害のある子の親としての切実な思いもあります。
 
 

こうした福祉制度は、必要に迫られた時にあわてて調べるよりも、早くに知っておく方が安心できます。渡部さんは前書きに、制度を知ることで将来への「漠然とした不安」を抱えている状態から、悩みの具体的な課題が明確になってくると述べています。自分たちがこれから準備すべきものも見え、悩みを可視化することで、将来に向けて前向きに取り向くことができるというのです。
 
 


 
 
もう1冊おすすめの本が、こちら。
 
 
障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本』(鹿内幸四郎著・杉谷範子監修 大和出版)です。著者である鹿内さんの娘さんはダウン症でいま17歳。親なきあとに、娘さんがお金で苦労しないようにと法的な勉強をされてきて、一般社団法人日本相続知財センターの理事等、さまざまに活躍されています。
 
 

『障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本』(鹿内幸四郎著・杉谷範子監修 大和出版)


 
 

難しい法律用語を使わずに書かれているので、すっと頭に入ってきます。こちらも1冊もっていて損のない本です。この本にも書かれていますが、2000年からスタートした「成年後見人制度」は、当初認知症のお年寄りを想定されて作られていましたが、判断能力の乏しい障害児(者)にも適用されます。なので、いろいろな不具合があるのです。
 
 

後見人がつくと、親といえども子どもの財産に手を触れることはできなくなります。子どものために子ども名義で預金していたお金を、いくら子どものために使いたいと思っても、後見人の許可なく通帳から引き出すことができなくなってしまうのです。しかも、財産の管理費として毎月後見人に2万円程度、支払う必要が生じてきます。このあたりの話が本書に詳しくかかれています。

 
ほとんどの親は、子どもの預金を使い込んだりはしません。それなのに、後見人を立ててしまったために、毎月2万円の支払いが発生するのは納得できませんよね。なので、鹿内さんは、娘さんが成人になる前に、成年後見人を親が任意に決める(任意後見人)方法を提案しています。

 

成人になるまえなら任意で後見人を決めることができます。鹿内さんの場合は、自分が亡くなったあとは妻(子どもの母親)を後見人に指名、妻も自分が夫より先に亡くなったら夫を(子どもの父親)を後見人に指名しています。それぞれ自分なき後の後見人に夫婦の互いを指名しておきます。これをたすき掛けと鹿内さんは呼んでいます。どちらかが亡くなっても、どちらかが子どもの財産を管理できます。
 
 


 
 

しかし、ここからが重要。もしお子さんが、いま16歳なら、頭に入れておいてください。2022年から、成人年齢は、これまで20歳だったのが、18歳に引き下げられてしまいます。成人に達して親権が失われる前に、手を打っておく必要があるわけです。
 
 

成年後見人の申請はいつしなければならないということはありません。が、子どもが成人に達する前のほうが親の意向を反映しやすいことは確かです。もし、お子さんがすでに成人に達している場合は、なるだけ、成年後見人をつけるのは先伸ばしがいいです。一度つけると、よほどのことがない限りは撤回できないからです。制度だからと、あわてて後見人をつけてしまうと、何度も申しているようにわが子の財産は国(実際には、弁護士、司法書士、行政書士等の専門家)に管理されてしまい、親といえども自由に使えなくなってしまいます。
 
 

今は、家族信託、福祉信託等(こちらは、私もこれから勉強します)、子どもの財産を守るいい制度がありますので、こちらを利用するほうがよさそうです。
 
2冊の本からわかるのは、福祉手帳は早く、成年後見人はゆっくり(ただし子どもが成人前はなんらかの手をうっておく)ということですね。お金に関することひとつとっても、知っておくと安心だし、将来のためにいますべきことがわかって準備することができますよね。
 

 

 

トビラコ店主

 

 

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