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2020.10.31

「トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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(昨日配信したメルマガの記事を再掲載しています)
 
わが子に障害があるとわかったとき、頭をよぎるのは子どもの将来のことではないでしょうか。
 
親の方が先に亡くなります。残されたこの子は、いったいどうなってしまうのか。
 
障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本 ダウン症の娘をもつ「相続のプロ」が明かす財産管理のしくみ』(鹿内幸四郎著 杉谷範子監修 大和出版)の著者鹿内さんは、医師からわが子が「ダウン症」と告げられた時に、これ以上泣けないというくらいに涙を流しました。ダウン症はおろか、「障害」になんの知識もなかった鹿内さん夫婦。娘の未来を描くことができず、「このままマンションから飛び降りたらラクになれる」と考えたことがあったと著書に書いています。しかし、娘さんの泣き声で我に帰ります。

 
 

 
 
発達障害の生まれて 自閉症と母の17年』(松永正訓著 中央公論新社)のモデルになった立石美津子さんは、息子さんと飛行機に乗った際に「このまま墜落してほしいと思った」(言い方はちょっとちがっているかもしれませんが、このようなニュアンス)と著書に書いています。
 
 

障害のあるわが子と一緒に死んでしまったらラクになれる。
 
 

一瞬でもこの誘惑に引き込まれそうになる親というのは少なくないように思います。もちろん、ほとんどの親はそれを実行しません。妄想するだけです。妄想したあと、鹿内さんのように我に帰るわけです。
 

 

でも、こんなふうに思ってしまうのは、わが子の将来像を描くことができずに、漠然とした不安に押しつぶされそうになってしまうからだ思います。
 
 

いったい何が不安なのか、どうすればいいのか。それがわかると、今やるべきこと、もう少し先にやっておいたほうがいいこと、逆にやらなくてもいいことが見えてきます。
 
 


 
 

最近、障害のある子をもつ親のための、いわゆる「親なき後」本が売れているようです。
 
 

これまで、タブーではなかったにせよ、なんとなく表立って言いにくかった「親なき後」がクローズアップされるようになったのは、いいことですよね。
 
 

なぜ、クローズアップされるようになったのか。
 
 

ひとつには、医療の進歩や支援の充実により、障害のある子が親よりも長く生きられるようになったこともあるでしょう。たとえば、20年近くまえまでは、ダウン症の子は20歳までしか生きられないと言われていました。しかし、いまは50~60歳代まで生きることができます。
 
 

障害のある子が長生きできるようになり、実際問題として情報が必要になってきているわけです。
 
 

もうひとつには、障害についてオープンに話せる空気が醸成されたことも大きいと思います。障害への差別がまったくなくなったわけでは、もちろんありません。でも、世の中の動きとしては障害者差別解消法ができ、インクルーシブ(だれも排除しない)教育の流れのなかで、かつてないほど「支援」という言葉が使われるようになりました。
 
 

そして、誰もが知りたかった「親なき後」のことが、福祉課の窓口の片隅に置かれたパンフレットではなく、きちんとした本となって出たわけです。
 
 


 
 

いろいろある中で、いまおすすめしたいのは2冊です。
 
 

障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』(渡部 伸監修 自由国民社)
「親なき後」も含め、障害のある子が受けられるサービスや福祉制度全体を見渡せる地図として1冊持っていたい本です。
 
 

『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』(親なき後相談室主宰 渡部伸監修 自由国民者)


 
 

福祉は申請主義です。向こうから「こういうサービスがありますから使ってください」とは言ってくれません。申請したものだけがサービスや制度を享受できます。本書では、わが子に障害があるとわかったときから、教育、就労、そして親なき後のことまで子どもの人生のステージごとに解説しています。

 
 

渡部さんは行政書士であり、「親なきあと」相談室を主宰。娘さんは重度の知的障害を抱えています。切実な思いは読者と変わりません。さまざまな福祉制度やサービス、民間もふくめた取り組みを知ることで、子どものためにできることをしていこうと前向きな気持ちになれたと、著書で述べています。
 
 

そして、「自立」とは、一人でできないことや、困ったことがあったときに、適切な手段や支援をしてくれる制度や仕組みを使えることではないかと、結んでいます。
 
 

もう1冊のおすすめは、冒頭で触れた『 障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本 ダウン症の娘をもつ「相続のプロ」が明かす財産管理のしくみ』(鹿内幸四郎著 杉谷範子監修 大和出版)です。
 
 

鹿内さんは、お金にフォーカスして書いています。
 
 

『障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本』(鹿内幸四郎著・杉谷範子監修 大和出版)

 
 

具体的には、子どものために残すお金についてです。法律や制度を知らないと、こんなはずではなかったということになってしまいます。たとえば、「成年後見人制度」。判断能力の乏しい人のために、後見人が本人に代わり契約を交わしたり、財産を管理したりする制度です。知的障害のある子(人)もこの制度の対象になります。
 
 

「成年後見人制度」は、子どもが成人すると家族が後見人になることが難しくなります。一旦、後見人がついてしまうと、後見人の許可なく子どもの貯金を引き出すことはできません。しかし、子どもの成人前なら親権があります。この親権のあるうちに、子どもにとってベストな形でお金がまわるように手を打っておくことを、鹿内さんは提案しています。詳しくは本書に譲りますが、子どもの成人年齢は2022年から18歳に引き下げられます。いま、子どもが16歳ならギリギリですね。子どもが小さくても、おすすめです。
 
 

いま、お子さんが成人に達していて、後見人がついていない場合、急ぐ必要はありません。いつまでに後見人をつけなければいけないということはないからです。一旦、後見人を立ててしまうと取り消すことはできませんし、財産管理の費用として毎月1~2万円の費用が発生します。そのようなことも本書には書かれています。
 
 

 
 

鹿内さんは自分たち親が亡くなった後だけではなく、子どもが亡くなった後のことまで言及しています。子どもが亡くなったら、お金は「寄付」という形で世の中に還元する方法です。
 
 

鹿内さんは、自分を支えた言葉として「ニーバの祈り」を挙げています。ニーバはアメリカの神学者です。

 
 

神よ、変えられないものを受け入れる冷静さ。
変えられるものを変える勇気
そのふたつを見分ける知恵を与えてください。

(『障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本 ダウン症の娘をもつ「相続のプロ」が明かす財産管理のしくみ』鹿内幸四郎著 杉谷範子監修 大和出版より)
 

 

障害のあることは「変えられない」し、法律も「変えられない」けど、自分の状況は変えることができると信じてきた鹿内さん。今の同じ悩みをもつ人たちのために、全国を飛び回っています。

 

ご紹介した2冊は、どちらも監修者や著者がわが子に照らして、わがこととして書いているので、読む方にも伝わってきますし、読む側の行動を変えてくれる本です。

 

 

 

トビラコ店主

 

 

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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)

発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)


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