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2020.11.13

「トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 
お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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社会に出てからのことを想定しながらの子育ては、発達障害の子にとってどれだけ重要か。
 

誤学習・未学習を防ぐ! 発達の気になる子の「できた!」が増えるトレーニング』(橋本美恵 鹿野佐代子著 翔泳社 2018年)

を読んで痛感させられました。著者はお二人とも、長年にわたり福祉の現場で当事者とその家族を支援をしてきた方です。支援の中にはお金を始め生活の自立も含まれていて、社会に出てからの話がとてもリアル。
 

 
本書は、タイトルにあるように「誤学習」(誤って学んでしまった)と「未学習」(学習していなかった)が原因で起きる大人になってからのトラブルの事例から始まっています。
 
たとえば、お金の管理ができなくて離婚に至った女性。
数字には強く、計算自体は1円の誤差もなくできるのに、家計のやりくりができませんでした。リボ払いのしくみがわからずにカードを使いすぎてトラブルになり、それがもとで離婚。
仕事も家庭もうまくいかない原因が自分にあるように思い診断をうけたところ「発達障害」ということがわかりました。
このようなケースは意外と多いそうです。知的な遅れもなく、数字の計算はきちんとできるために「障害」があるとは見られないのです。
 
でも、数字は読めても、お金の量をイメージできないので、カードでほしいものを次々に買ってしまっていたわけです。
 
彼女の場合、1か月に使えるお金には限度があるという「お金のトレーニング」が「未学習」」だったわけです。
 
そこで、ファイナンシャルプランナー(福祉方面のファイナンシャルプランナー、著者の鹿野さんもそのひとり)に相談して、お金の流れを目で見て把握できるようにしました。すると、カードのリボ残高が一目瞭然。最初8万円だったのが、1年間で215万円の残高です。リボ払いは返済の額が少ないので負担が少ないように思えますが、そこがからくりです。負担が少ないからと次々に買ってしまいがち。これでは、いつまでたっても返済がついてまわり、破産してしまうかもしれません。
 
結局、カードは使わずに現金でやりくりするようアドバイスされました。さらに1か月に使えるお金を1週間ごとにわけて管理するようになったそうです。
余談ですが、キャッシュレスの時代、お金の流れや量をイメージできない人は、なんらかの方法でお金の見える化は必要ですよね。
 
親の財布から魔法のようにお金が出てくると思っていた子の例も出てきます。お金のトレーニングは、小さいうちから必要だと思いました。
 

 
昼夜逆転で部屋にこもってゲーム三昧の40歳の男性の例は「誤学習」。
 
1日中オンラインゲームをして、自室は空のペットボトルやお菓子の袋が散乱していたそうです。掃除しようとすると(これは、どうかと思いましたが)、「入ってくるな」と怒鳴られます。
母親が、息子の将来を心配して著者に相談しました。
 
彼の場合は、家庭内での「決定権」を誤学習してしまったために、思い通りにならないと怒りだしてしまったわけです。家庭内での決定権は、親にあります。
 
なので、小さいうちから「自分の部屋は自分で掃除」「お小遣いの額は親が決める」ということを教えておくといいと著者は述べています。
 
さらに、この男性は、「障害者」として見られることを嫌やがり一般企業に8年間勤務。結局仕事をやめ部屋でゲーム三昧の日々を送ります。居場所がなくなってしまったわけです。
 

 
障害を隠したことで、一般企業では背伸びをしなければならず、「できないこと」を「できる」といったり、わからないのに「わかったふり」をしたりして心が折れることもあるそうです。この男性もそうかもしれませんね。困ったときには「困っています」と助けを求められるように、小さいうちからできているとよかったのではないか(これも「未学習」といえますね)と著者は語っています。これは、支援する人がみんな口を揃えていいますよね。
 
その後、お母さんは親の会に入り、そこで紹介された障害者スポーツセンターを息子さんにすすめたところ、息子さんは興味を示したそうです。やはり居場所を求めていたんですよね。で、彼は毎日通うようになり、友達ができます。その友達が通っている就労継続支援B型へ月曜から金曜まで通うようになったそうです。
 
事例が長くなってしまいましたが、本書の大半を占めているのは、小さいうちに何をしておいたらいいのかが具体的に書かれています。いろいろ書かれている中で、とりわけ大切なのは「時間(時計)」と「お金」だなと思いました。社会に出てから、このふたつは自分で管理することが必要ですし、できないときには助けを求めなくてはなりません。
 

 
第3章の「発達障害のある子の子育て、よその家族はどうしている?」もよかったです。
 
自閉症が「治る」と言われて高額の本を買ってしまった人の話。息子の「できない」にばかり目が向いて怒ってばかりだった母の話は泣けました。あるとき弟から「お兄ちゃんを怒ったら、ぼくも悲しくなる」と言われてハッとし「怒らない、家族みんなが泣いている」という標語を作りました。そのうちにお兄ちゃんはお手伝いができるようになり、それまで怒られてしゅんとしていたのに、「お母さん、僕に任せて」というようになります。
 
結局、第1章から第3章まで、まるごとおすすめです。なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろうと思った1冊でした。
 

 
 

トビラコ店主

 

 

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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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トビラコが編集した本

発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)

発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)


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