お知らせ一覧

2020.11.16

「トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 
お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

——————————–

 

障害のあるきょうだいのいる障害のない子は、「きょうだい児」とよばれています。
 
「きょうだい児」に対しても支援やフォローが必要ということで、関心が寄せられるようになりました。きょうだい児同士が交流や情報交換できる会もあります。
 
私自身も、障害のあるきょうだいがふたりいるので、立派な「きょうだい児」でした。とっくに大人なので「児」ではないため、過去形です。でも、きょうだい児という言葉を知ったのは、つい3年くらい前のこと。大学で研究されている先生もいらして、ほう、研究対象になるんだと思いましたね。
 
きょうだい児が支援やフォローされるのはいいことだし、同じ境遇の仲間ができるのもいいことですよね。悩みを包み隠さずに語り合えますからね。こういう場は必要だと思います。
 
ただ、ちょっと気になるのは、親がどう思っているかなんです。
 

 
障害のある子に時間がとられて、ないの子のほうに十分に目が行き届かないこともあるでしょう。それは当然です。弱い側をみんなでフォローするのが健全な集団だと思います。家族でも同じことです。
 
なので、障害のない子にがまんを強いるという場面はどうしても出てきます。親として、そこだけ頭のどこかにいれつつも、だけど間違っても「負い目」を感じるようなことのないように。あるいは、障害のない子にたいして「申し訳ない」というような思いを抱かないように、と強く思います。
 
弱い立場の人間をフォローするのは、人として当然のことです。きょうだい児は、それを小さいうちから学ぶことができるのです。
 

 
こんな話を聞いたことがあります。
 
施設に入所している障害のある子の家族の話です。その子が家に帰ってくると、父親は近くのホテルに泊まってしまうそうです。一緒にいるのが嫌だからです。親がそんなことだから、きょうだい児も障害のあるきょうだいには冷たいといいます。せっかくという言い方は語弊があるかもしれませんが、きょうだい児として学ぶ機会を逸し、親が率先して障害のある子(人)を避けるべき存在にしてしまっているのです。
 
もちろん、きょうだい児が、障害のあるきょうだいのために自分の時間のすべてを捧げるべきとか、あらゆることを犠牲にするべきとか、そういう極端な話をしているわけではありません。
 
がまんする場面があってもそれは仕方のないことなんだということで、親が負い目を感じてほしくないということです。きょうだい児に対して「あなたのことも大切に思っているよ」ということをなんからの形で示せばそれでいいのではないでしょうか。
 
「仕方のないこと」は、世の中いくらでもあります。
 

 
親の愚痴を聞くこともあるでしょう。でも、それだって、ある程度は仕方のないことだと思います。心理学の見地に立てば、子どもを親のカウンセラーにすべきではないということになるかもしれません。でも、愚痴も弱音も吐くことができない家族だとしたら、それも窮屈だなあと思います。たしかに、子どもにだけ愚痴が集中するのは問題ではありますが、それも程度の問題なんで、どこまでがセーフでどこからがアウトと線引きはできないように思います。
 
私自身、母親の愚痴は聞いてきました。おかげで、おこがましい言い方かもしれませんが、人の弱い部分、ずるい部分、汚い部分を少しは学んだように思います。あまり学びたくないこともありましたけど(笑)。親といえども、ずるいところもあります。ずるくても、弱くてもやはり自分が味方でいるべきと思いました。これもおそらく心理学の先生からはダメ出しがでそうですよね。でも、正論ですべてをぶった切ることはできません。
 
大人になるにつれて、「ああ、お母さんは、心配することが趣味なんだ」と思うようになりました。このことを長年家族ぐるみでおつきあいのある神経科(いまでいう心療内科)の先生に話したところ、「そうなんだよ、その通りなんだよ。それがわかるのはいいことだよ」と笑いながら妙な褒め方をされました。人の愚痴をきくのでも、相手は必ずしも答えを求めているわけではないんだ、ただ聞いてほしいだけなんだということも知りました。へたに正論を述べてしまうと相手を傷つけることになると、何度も失敗しながら学んだように思います。
 

 
毒親とかいう話になると、まったく違った対応が必要で、即刻離れるべきとは思います。でも、大多数の親は毒親ではなく、でも完璧な親というわけでもありません。家族は不完全な人間の小集団です。不完全なりに、弱い側をフォローしていくということができていれば、それで十分ではないかと思います。きょうだい児のことを書くつもりが、違う話になったような気がします。
 
ただ、「きょうだい児」という言葉が生まれると、そこに定義が必要となり、その定義からはみだすことはいくらでもあるように思うのです。そんな直感のようなものあって、きょうだい児については、いまのところあまり勉強していません。これから勉強するかもしれません。そんなわけで、あまりためにならない話をしてしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 
 
 

トビラコ店主

 

 

********************************

小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
********************************

ウェブサイト以外でも発信しています。

会員登録された方にはメルマガ(無料)配信しております。
*会員登録はこちらから。お買い物いただかなくても登録できます。

Facebookはこちらから(日々、なんか発信しています)

LINE@はこちらから。イベントのお知らせなどもしております。

友だち追加

********************************

トビラコが編集した本

発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)

発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)


********************************