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(12/26配信のメルマガの記事を転載しています。)
障害のある子は、そうでない子に比べていじめにあいやすい。教師から体罰を受けやすい。
認めたくはないし、あってはならないことですが、親としては心しておかなければいけない現実だと思います。
つい、先日発売された『 発達障害・知的障害のための合理的配慮ハンドブック』(土橋圭子・渡辺慶一郎編 有斐閣)は、障害のある子(人)が、出会うであろうさまざまな事例を、さまざまな分野の専門家が解説し、アドバイスしています。
この本の一節に「いじめ」という項目があるとことをみても、障害のある子(人)は、いじめにあいやすいということがわかります。
●思春期特有のみせかけインクルーシブ
こんな事例があります。
ADHDの中学生の男の子の例です。教師のいるまえでは、ADHDの男の子が話しかけると応じるクラスメートたちですが、教師がいなくなると一斉に無視。学校を休みたがるようになった男の子の親が教師にいじめの現実を訴えると、「うちのクラスにそんないじめはない」の一点張り。
教師のいるところではインクルーシブ(だれも排除しない)、いなくなるとエクスクルーシブ(排除する)。こうした事例は、おそらく全国で起きているのではないでしょうか。
これについて、本田秀夫(信州大学医学部子どものこころ発達医学教室教授)さんは、「ADHDという少数派の生徒を無防備にインクルーシブな環境に放り込んだときにしばしば生じる」とし、担任の想像力の欠如を指摘します。このようなケースには、学校内の教員のだれかに相談できるようにするといいし、校内で相談体制をつくるべきとすすめています。
この本には書かれていませんが、本田さんは学校以外の居場所をいくつもつくっておくことが大事と言います。発達障害はマイノリティーであり少数民族というのが本田さんの考え方。多数派に合わせようとすること自体がストレスです。学校は多数派の集団なので、学校以外の、ほっとできる場所が必要だというわけです。
●学校でらちがあかなければ地域の苦情窓口へ
教師による体罰として、こんな事例も。
特別支援学校の教師です。「子どもの将来のため、しつけ、愛情」と称して体罰を加え、怒鳴り、からかう。学校に苦情をいっても一笑に付されて相手にされない。
体罰は学校教育法で禁じられています。このような事例で、内山登紀夫(大正大学心理社会学部臨床心理学科教授、よこはま発達クリニック院長)さんは、体罰は障害罪であり、児童虐待にあたるとし、弁護士や警察に相談することをすすめています。まず、校長など責任のある人に直接面談を申し入れて、無断でもいいから音声記録をとっておくこと。らちがあかなければ、地域の苦情窓口で相談(東京なら「生活文化局」)することもすすめます。
●障害名を教師が公表するのは法的にアウト
障害名を公表するという教師の事例も。
進学校に通う発達障害の子の例です。障害理解のために、学校の全職員とクラスメートに障害名を伝えるという教師に悩む親。障害名が知られてしまうと校内外に広く知れ渡るり、わが子の人権を守るためにも伏せておきたい、という親の気持ちを汲んでもらえません。
本人が障害名を言われたくないと言った場合、学校側が明らかにすることはできません。これについては、法的な立場から人権問題として大谷恭子さん(弁護士)は、次のように話します。
すべての人は、プライバシーが保護され、各個人の情報は自分自身で管理し、個人情報はみだりに取得されたり勝手に流布されてはならない。(中略)災害時の緊急時においてやむを得ない場合を除き、第三者に開示することは禁じられている。
ということで、障害名を公表しようとしている、この教師は法的にアウトなわけです。
この本は、一見すると専門家が読む本のように思えます。でも取り上げている事例はどれも身近なものばかりです。専門家の立場だと、このように捉えることができるという意味で視野も広がります。
「うちの子(私)が、こんなめにあって良いはずがない」と思った時に、開いてみてください。そう思わなくても、いろいろな事例を読むことでこれから遭遇するかもしれない困難への対処法もわかります。
トビラコ店主
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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
『発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)