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2021.01.16

トビラコへようこそ!

~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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(1/16配信のメルマガの一部を転載しています)

 

障害と個性が裏腹のように思える発達障害。でも「個性」で通すことは、なかなか難しく、どこかの時点で子どもに「障害」を伝えなくてはならないでしょう。
 
どのタイミングで、どのような状況で、だれが。ということを、まず考えた方がいいと思います。いきなり「あなたには障害がある」と「障害名」だけを伝えられても、すんなりと受け入れられるものではありません。
 

 

告げられて、自分を理解
 
かなり理想的な告知の例を挙げてみます。
 
識字障害の高梨智樹さん(1998年生まれ)です。現在は、父親とドローンを使った撮影の会社を起こし、仕事をしています。
 
高梨さんの識字障害はかなり重く、文字を文字として認識することができません。知的な障害があるわけではないため、最初のうちは通常の学校に通いました。文字の読み書きができないので、授業についていくことはできず、小学校時代は自分を「勉強のできない子」と思い込んでいました。
 
ところが、小学校の高学年の担任が学習障害の一種である「識字障害」であることを疑い、高梨さんに中学校から特別支援学校への進学をすすめます。特別支援学校は、知的障害のある子が通う学校ですが、知的な障害がなくても、通常の通学が困難な病弱児も通うことができます。智樹さんは「病弱児枠」で、自らすすんで入学しました。というのも、通常級では高梨さんの居場所がなかったからです。診断が下ったのは中学校に入ってからです。
 
特別支援学校では、識字障害への理解のある教師のもと、授業ではパソコンや読み上げソフトが活用され、みるみる学習が進みました。

 

高梨智樹さん

 
学習障害の診断結果を高梨さんはどう受け止めたのでしょうか。
 
次のように語っています。
 
それまでは周りのみんなも僕と同じように文字が見えていて、僕よりずっと努力をしているから文字が読めているんだと思っていました。僕は病気がちで、学校を休んでいるから読めないんだと本気で思っていたんです。だけど、それは障害があるからなんだとわかり、それまでの苦労の理由がわかり、すんなりと腑に落ちました。(tobiracoサイト 「できないこと」をがんばらせるより、「できること」を伸ばせばいい より)
 
ここでのポイントは、3つあると思います。
 
●理解のある先生がいたこと。
●支援の態勢がとれていたこと。
●本人が障害を理解し、納得できたこと。

 

障害は告知されるだけではなく、障害による困難を解決したり回避したりする方法が同時に提示される必要があります。
 
このような障害がある。でも、このようにすると困り感が解決、もしくはかなり軽減されるという方法です。
 
障害名だけを告げられてフォローがないのは、もっとも避けたいパターンです。

 

 

障害を告知するときの留意点

 
いまは、発達障害関連の本は山のようにあります。でも、読んだだけでわかったつもりになってしまうことに危うさを感じるのです。
 
障害を本人に告げる留意点として、家族支援の専門家でもある中田洋二郎さん(立正大学心理学部教授)は、保護者と支援者が認識しておかなければならない3つをあげています。心理学の先生なので、固い専門用語も出てきますが、だいたいおわかりいただけるのではないかと思います。
 
1)本人にとっては自分のどこが障害なのかを理解することは難しい。つまり本人にとって障害と個性は未分離で混沌とした状態である。
 
2)思春期における障害の認識は、精神発達の過程で生じる自己同一性の確立と深く関連しており、障害の認識を自己理解の過程として考える。
 
3)思春期の子どもの場合、障害を認識するためには「自分のことを理解したい」という自らの意思が必要である。
 
(中略)
 
障害を受け入れるためには、自分自身を肯定していなければならず、子どもが自身を尊重する感覚を保護者も支援者も育てることが重要、と続きます。

 
—『発達障害のある子と家族の支援 問題解決のために支援者と家族が知っておきたいこと』(中田洋二郎著 学研プラス)より—

 

 

先の高梨智樹さんは、上の3つがあてまっています。
 
1)自身の障害を理解できずに病弱のせいと思い込んでいた。
2)障害を認識することで自身を理解した。
3)2)とほぼ同じですが、自分を理解したいというという気持ちはあったと思います。
 
そして、やはり、高梨さんは自身を肯定的に見ることができる育てられ方をしているんですよね。
 
病弱ということもあって、無理強いをさせない。智樹さんが興味を示し楽しめることをさせた。と母親は語っています。病弱だからといって健康になることを目指して何かをさせていたわけではなく、病弱は病弱のまま受け止めていたようです。これが高梨さんが、自身を肯定的にみることにつながったのではないでしょうか。つまり弱い部分を受けとめる素地がもともとあったわけです。
 

障害の告知がうまくいった親子の共通点
 

高梨さん、前述の中田さんの話から、障害の告知もその後のフォローも信頼できる支援者がいると、いかに心強いかがわかります。
 
中田さんは信頼関係を築ける支援者(この場合、カウンセラー)として、問題が起きていないときの面談の態度が大事だといいます。信頼できる支援者として、次の条件を挙げています。
 
●話の腰を折らない。
●否定的なコメントを挟まない。
●話題を評価しない。
●今後の心配や懸念を言わない。
 
もちろん、支援者としては言いたいことはたくさんあります。その場でアドバイスしたいこともあるでしょう。でも、普段の面談ではそんなことはおくびにも出さない。こうして信頼関係を築いていくわけです。
 
というのも、発達障害の子の多くが、自分の話を最後までそのように聞いてもらった経験がないからだといいます。
 
障害の告知がうまくいくためには、ある共通点があります。
 
中田さんは、子どもと保護者に対話の習慣があり、問題解決をともに考え、子どもが成功体験を得られるように援助できることを挙げています。
 

障害を告知され、受けとめられるのは、普段から自分自身を肯定的に受けとめてもらっているからです。親や支援者への信頼があるからこそ受け入れることができるのだと思います。

 
 

トビラコ店主

 

 

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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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