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2021.01.18

トビラコへようこそ!

~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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大きな困難に出会うと、今日生きるのがせいいっぱいで、明日のことなど考えられない。
 
阪神淡路大震災で被害を受けた、友人のMさんたちの学童保育がまさにそれでした。
建物が壊滅状態になり、河原に大きなテントを張って臨時で運営していました。再建のめどがたたずに茫然とするMさんに、子どもたちが「おっちゃん(Mさんはこう呼ばれていました)、今年は夏のキャンプいつすんの?」。
 
(明日のことがどうなるかわからんのに、キャンプどころやないやろ)。Mさんは心の中でこう思ったそうです。
 
子どもたちが、夏のキャンプを楽しみにしているのには、理由があります。
 
この学童保育にとって、夏のキャンプは恒例の一大イベントなのです。学童のある場所から車で2時間ほど、冬はスキー場として使われているところで行うキャンプは、7泊8日という長きわたります。朝は薪をくべてかまどでご飯を炊くことから始まり、生活のすべてを子どもたちが行います。3泊目くらいになると、ホームシックにかかってなく出す1年生を高学年がなだめたりもします。自分も通ってきた道だから、泣く子の気持ちがわかるのです。自然に囲まれた場所なので、近所の川で魚を手掴みしたり、鶏を絞めて唐揚げにしたり(これも見たことない子にはショッキング)、高い橋から川へ飛び込んだり。学童を創設したMさんが、スキー場の経営者に頼み込んで、(おそらく無料で)キャンプ場として使わせてもらっているのです。
 
7泊8日のキャンプには、Mさんの願いがこめられています。子どもたちに、ただ消費するだけの便利な生活ではなく、生き物の命をもらって自分たちが生きていることを知ってほしい、ご飯の煮炊きをすることで生活者として過ごしてほしい。そんな思いで始めたキャンプがずっと続いていました。キャンプが終わると、子どもたちの顔つきがぐっと大人びてきます。
 
震災という未曾有の出来事を前に、キャンプのことなど頭になかったMさん。いつも通りのキャンプができると思っている子どもたちに呆れながらも、「いや待てよ、こんなときでも、いやこんなときだからこそ、キャンプをやろうとしているんやな、この子らは」と思い返し、むしろ、子どもたちに背中を押されるように夏のキャンプを計画しました。
 
「子どもは守られるだけの存在やない。一緒に生きる仲間や」という、いつものMさんの思いが、震災という出来事で思わぬ形で帰ってきたわけです。
 
Mさんの話では、キャンプができることのありがたさが、これまでになく身に染みたといいます。

 
 
 

トビラコ店主

 

 

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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)

発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)


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