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(2/6配信のメルマガの記事の一部を転載しています)
集団生活、集団行動、一斉授業。
発達障害の子が苦手とする場面がいくつもあるのが、小学校です。
配慮なしに、入学させてしまうと、「苦手」ばかりが膨らんでしまいます。
小学校で、その子のよさが存分に発揮できるよう、園児のうちから支援していく。それが就学支援です。
「就学支援」というと、「小学校に入ったときに困らないようにする」というイメージをもっている方もいるかもしれませんね。実際、小学校に上がったときのリハーサルをする園も少なくありません。
名前を呼ばれたら、まっすぐ手を上げて、大きな声で返事をして前へ出る、というように。
あるいは、家庭ならドリルをさせたり、椅子にじっと座っていられるように練習したり。「そんなことだと、学校で困るよ」というようなことを言ってしまったり。
でも、学校に子どもを合わせることが支援なのでしょうか?

時間をかけて就学先をみつける
本当の就学支援を知っている園は、入園時から始めます。
といって、幼児の早期教育のように、文字や数字を教え込むというのではありません。発達が気がかりな子の育ちを時間をかけて見ていくのです。そうして、その子が力を発揮できる就学先や学校の環境を、保護者と一緒に考えていきます。
「育ち方」は、子ども一人ひとりで違います。とくに発達障害の子はさまざまな特性があり、育つペースも違います。そこを見ていくわけです。
たとえば、年度始めは、落ち着きがなくて、先生の話をまったく聞くことができなかった子が、夏には落ち着いて話を聞けるようになっていることがあります。秋になってようやく落ち着く子もいます。慣れるのに時間がかかる子は、慣れるまで時間をかけてもらえばいいわけです。
先生の話を聞くのに、園児に一斉に話しかけると頭に入らないけど、自分にだけ話してもらうと理解できる子もいます。理解できたうえに、質問までできる子もいます。一対一なら深く理解できても、他の子どもがたくさんいると気が散って話が聞けないわけです。
入園時、同じように「落ち着きがなくて、話が聞けない」子どもたちでも、時間をかけてみていくとだんだんとそれぞれに違った育ち方をしていくのです。
以上は、園を巡回して就学支援のアドバイスをしている先生に聞いた話です。毎日見ているとわからないことでも、学期ごとに回ると見えてくることがあるんですね。
時間をかけて育ち方をみたうえで、就学先の検討にはいるのが理想であり、これが本当の子どものための就学支援です。
子どもが学校にあわせるのではなく、学校が子どもに配慮する。「その子が学べる場」にしてもらうわけです。そうした配慮ができる学校が、その子にもっともあった就学先です。

自分のペースで発達できるように
時間をかけるとは、見守ることです。
子どもが自発的にそれを「する」ようになるまで見守るといってもいいかもしれません。配慮は、子どもが自分から「する」ようになるためのものです。
誰かの指示で「させられる」のではなく、自分から「する」。同じことをやるのでも「する」と「させられる」ではまるでちがいます。
時間がないと、つい私たちは子どもに「させる」をしてしまいがちです。子どもにしてみれば「させられる」です。やはり、鍵となるのは時間なんですよね。
自分から「する」ができる子は、自律的に生きていける子です。常に「させられる」子は、そのうち指示がないと動けなくなったり、失敗すると人のせいにしたりします。学校は「させる」場面がとても多く、学校に過剰に適応してしまった子が社会に出て、自分から「する」という選択ができなくなるのはよくあることです。

アメリカでもっとも有名な作業療法士のエアーズ博士は、発達障害の子への最善の対応として次のように語っています。
行為機能不全の子ある子に対応する最善の方法は、自分のペースで発達させてあげることだ。本人がこわがる課題をやらせない。本人の水準にあった知識、保護、機会を与えよう。(『子どものかくれたつまずきを理解する 感覚統合の発達と支援』A・ジーン・エアーズ著 岩永竜一郎監訳 古賀祥子訳 金子書房)
ここでいう「行為機能不全」を発達障害とおきかえても差し支えないと思います。
年長になったからと、急にあたふたと就学先を探すことがいかに、子どもにとって厳しいものであるかをおわかりいただけるでしょう。
本当は、発達障害でなくても、すべての子どもが自分のペースで発達していけることが望ましいと思います。
トビラコ店主
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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
『発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)