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2021.02.20

~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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(2/20配信のメルマガの記事の一部を転載)
 
触られることを極端に嫌うのは、感覚が未熟だから
 
髪の毛を触られることを極端に嫌がる。
爪切りを嫌がる。
歯磨きが嫌い。
軽く肩を触られただけなのに、過剰に反応する。
手をつなぐことを嫌がる。
 
発達障害の子によくみられる特性です。もちろん、すべての子というわけではありません。
「触覚」という感覚に問題を抱えた子の場合です。
 
人間の全身の皮膚には「触覚」というセンサーが張り巡らされています。フワフワ、チクチク、ヌルヌル、ベタベタといった感触は、触覚のセンサーの働きによるものです。
 

 

熱いヤカンに触ると、思わず手を引っ込めます。バッグの中の見ずに財布を探し当てることができるのも、たまたまバッグに入っていたハサミの先端に触れて思わず手を引っ込めるのも、「触覚」というセンサーによるものです。
 
触覚という感覚を身につけたのは、ヒトが生き延びるためだったそうです。話は古代にまで遡ります。
 
やがてヒトに進化する生物が、目も見えず、耳も聞こえず、匂いを嗅ぐこともできなかった頃、頼りになるのは「触覚」だけです。自分に近づいてきたものが「危険」なのか「獲物」なのか。全身の触覚というセンサーで感じとるわけです。危険と感じたら身を固くしたり、攻撃したり。獲物だとわかれば食いついたり。
 

 

しかし、だんだんと他の感覚(嗅覚、聴覚、視覚など)が発達してくると、触覚だけに頼らなくても生きていけるようになりました。
 
そして、触覚も進化しました。触覚はそれまでの「原始系」から、「識別」という新しい能力を獲得しました。これが「識別系」です。
 
鞄の中を見ることなく、「財布」と「ハサミ」を識別できるのは、触覚の「識別系」のセンサーが働いているからです。
 
触覚は、危険を感じる昔ながらの「原始系」と、進化の過程で獲得した「識別系」の二つが拮抗しています。
 
このふたつがうまく働いてこそ、触られても(触っても)大丈夫なのか、危険なのかをとっさに判断できるわけです。
 

手探り遊びとタッチ遊びで、触覚の「回路」を活性化させる
 
触覚のセンサーがうまく働かずに、過剰に反応してしまうと、髪に触られれば相手を跳ねのける勢いで嫌がったり、爪を切らせなかったり、耳垢をとらせなかったりという、いわば過剰防衛になってしまうわけです。この現象を「触覚防衛反応」と作業療法士などの専門家たちは呼びます。逆にセンサーが鈍くて、人にベタベタと抱きつくこともあるそうです。

 

 

 

「触覚防衛反応」は、触覚の「識別系」よりも、「原始系」が強く働いているということです。まずは「識別系」を育てて、「これは、触っても(触られても)大丈夫だよ」と判断できるようにするといいそうです。
 
「識別系」を育てる遊びとしては、「手探り遊び」がよく知られています。
 
袋の中にいろいろな形のものを入れておき、中身を見ずに手探りで当てる遊びです。手で触ってわかるくらいの大きさのミニカー、積み木、ブロック、おもちゃ、人形などを入れておきます。モンテッソーリの「秘密袋」は手探り遊びとしてよく知られていますね。
 
「識別系」の遊びに慣れてきたら、タッチ遊びに。
背中に指で書いた形(○、△、□など)や文字を当てる遊びです。子どもが嫌がらずに、面白がっていたり、関心を背中に向けていたりすることが大切。そっと触るよりも、しっかり触ったほうが、触られたことが意識できます。つまり「注意を向ける」とは、何をされているかを判断する識別系が働くわけです。
 
識別系が働くからこそ、触られても構えずにすみます。もし、暗闇で、得体の知れないものに触られたり、触ったりすると、だれでも恐怖を感じるのは、識別系が働かないからです。
 
遊びではないのですが、タッチングのひとつとして体をスポンジで擦ってあげるのもいいそうです。この場合も、子どもが必ず、触られているところに注意を向ける(識別系が働く)ようにすることが大事。

 

 
マッサージもまた触覚防衛反応が強い子には、おすすめです。
アロマの香りがするマッサージオイルを使うと、香りで緊張感をほぐすことができます。マッサージをされることが好きな子は、自分からリクエストするようになってきます。母親と手をつなげなかった子が、マッサージを続けたところ、手をつなげるようになったという報告もあります。
 
虐待を防ぐためにも知ってほしい「触覚」の問題
 
「識別系」を育てると、「原始系」の暴走を抑制することができると、作業療法士の木村順さんはいいます。
 
「触覚」がうまく働いていると、母親に抱っこされた心地よさを感じることができ、情緒も安定します。でも、触覚がうまく働かないと、抱っこされたときの心地よさや、手をつないだときの安心感を得ることができず、情緒も不安定になってしまいます。抱っこや手をつなぐことを嫌がる「可愛げのない子」、「育てにくい子」と思われてしまうことは、その子にとって不幸なことです。親にとっても悲しいことです。
 
「触覚」の問題を知らなかったばかりに、防げたはずの虐待をも防ぐことができなかった例もあるように思います。
 
「触覚防衛反応」は、もっと多くの人に知られてよい発達の特性であり、支援が必要とされている特性でもあります。
 
ここに書かれていることが、うちの子のことだと思われたかたは、ぜひ木村順さんの『育てにくい子にはわけがある 感覚統合が教えてくれたもの』(木村順 大月書店)、『発達障害の子を理解して上手に育てる本』(木村順 小学館)『発達が気になる子を理解して上手に育てる本 「小学校で困ることを」減らす 親子遊び10』(木村順 小学館)を手に取ってみてください。
 
 

参考文献:『育てにくい子にはわけがある 感覚統合が教えてくれたもの』(木村順 大月書店)、『発達障害の子を理解して上手に育てる本』(木村順 小学館)『発達が気になる子をりかいして上手に育てる本 「小学校で困ることを」減らす 親子遊び10』(木村順 小学館)

 

トビラコ店主

 
 
 

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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)

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