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2021.04.18

トビラコへ、ようこそ
 
~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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児童精神科の先生から、じっくりと話を聞く機会というのは、なかなかないと思います。
 
昨日は、昨年見逃していた児童精神科の吉川徹さんのオンラインセミナー重度知的障害を伴うASDの医療~特に強度行動障害に関して~(信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部セミナー2020を見ることができました。
 
タイトルこそ難しそうですが、専門用語がほとんど出てこない、出てきたとしてもわかりやすく解説してくれるセミーでした。まだ、ユーチューブに残っているので、おすすめです。

 

強度行動障害とは、自傷行為(自分の頭を壁にぶつけるなど)、他害行為(人に噛み付いたり、突き飛ばしたり)が頻繁におきる状態です。「障害」という名前がついているのは、なぜなのかよくわかりません。
 
強度行動障害については、厚生労働省の「強度行動障害がある人 あなたはどんな人をイメージしていますか」が、とてもわかりやすくまとまっています。
 

吉川さんのセミナーは、深く納得することばかりでした。強度行動障害が起こりやすいパターンについてもそうです。強度行動障害は理由なく起きるわけではありません。ちゃんと理由があります。
 

そのひとつは、「弱いものは強いものに従う」という環境で育ってしまったこと。親が「強い立場」、子どもが「弱い立場」から、子どもが親よりも強くなったときには、簡単に立場が逆転して、他害行為となるわけです。
 
親の思い通りにさせようとして、怒鳴ったり、叩いたり。子どもが小さいうちはなんとかその場をおさめることはできるでしょう。でも、そこで子どもは「弱いものは強いものに従う」ことを学習してしまいます。だから、自分が親よりも、腕力が強くなれば、自分より弱い親を従わせるようになるわけです。
 
この話を聞いて、ある光景が頭をよぎりました。
 
障害のある子(人)が通う口腔センターの待合室での親子ちの姿です。
 
重度の知的障害のある妹を連れて、毎月、訪れる口腔センターでは、いろいろな親子の姿を目にします。
 
待合室は親子の観察の場でもあります。子どもとおしゃべりしている友達風親子。親はケータイに向かい、子どもは漫画を熱心に読む、自分の楽しみ追求型の親子。
 
若い父母に祖父母がつきそっている一家総出型(口腔センターに通うことがひとつのイベントになっているのでにぎやか)。子どもに目もくれない無関心型の親(年配の父親に多い)、子どものやることなすことに口出ししないと気が済まないうるさ型の親などいろいろです。
 
そのなかで、たまにですが、服従型の親をみかけることがあります。言葉で伝えられず立ち上がってなにか訴えようとする息子の頭を叩く真似をする母親です。家では叩いているかもしれません。
 
いやいやそうではないと思いたい。待合室で人目があるからおとなしくさせようとしているのかもしれません。でも、暴力の気配で服従させていることに変わりはありません。白髪で小柄の母親、母親の背丈をとっくに追い越している体格のいい息子。立場が逆転するのは時間の問題でしょう。

 
ゆったりとした待合室です。全員が障害のある子(人)なので、奇声をあげようが、そのへんを走り回ろうが、咎めたり、嫌な顔する人はひとりにいません。むしろ、(うちも同じよ)と微笑ましい光景としてみている親、「こんにちは」と声をかける医師、看護師さんもいます。待合室は、親が息を抜ける場でもあるのです。逆に、だからこそ、親は家でやっているようなことをしてしまうのかもしれませんね。

 

もうひとつ。頭をよぎった光景は、妹の小さい頃のことです。
 
言葉を発することができず、知的にも遅れがあった妹は、小さい頃、縁側のガラス窓をずっとたたいて(常同行動というらしいです)、遊んでいました。うるさかったけど、家族はだんだんと慣れてきて「今日も、ガラス窓叩いてい遊んでいる」くらいの感覚になってきました。しかし、当時は2階に下宿人(死語)がいたので、下宿人からうるさいといわれて困ったこともありました。
 
でも、これも、吉川さんのセミナーを聞いて防ぐことができたなと思いました。
 
妹はダウン症であり、自閉症でもある知的障害です。吉川さんの話によると、自閉症で知的障害のある子は、興味関心の範囲がものすごく狭くて、楽しみのバリエーションも少ないそうです。自分から楽しみを見出すということがなかなか難しくもあります。楽しみのバリエーションが広がるようにこちらから働きかけるようにするといいのだとか。
 
やめてほしい行動(妹の場合、ガラス窓を叩く)をやめさせるのではなく、楽しみのバリエーションを増やすこと。このことを知っていれば、当時の妹に別のことをして遊ばせることができたのかもしれません。
 
もし、いま、これをお読みの方で、やめてほしい行動(だけど本人は楽しんでいる風)で悩んでいらしたら、お子さんが別の方に興味が向くよう、お楽しみのメニューを提示してみるといいかもしれません。ひとつではなく、いくつか。そのうちのひとつがヒットするかもしれません。
 
こういう知識は、児童精神科の世界だけではなく、障害のある子(人)にかかわるすべての人が知っているといいですよね。
 
吉川さんのセミナーで、まだまだお伝えしたいことがありますが、長くなったのでこの辺で。お時間があれば、ぜひご覧ください。
 
 
 
 
 

トビラコ店主

 

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