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自閉症の子が言葉を覚えてから話すようになるまでの回路はどのようになっているのか、不思議です。いつか調べたいとは思っているのですが。。。
言葉を覚えるのがとても苦手で、話すこともあまりしない妹は、ダウン症、自閉症、知的障害といろいろな障害をあわせもっています。言葉を教えても、その場で話したりはしません。でも、あるとき教えた言葉がぽろっと出てくることがあります。
駅前の広場に鳩が何羽もいたので「ハトがたくさんいるね」と指差しながら、妹に話しかけました。妹は、うん、とうなずくだけです。ハトという言葉がわからないのかなと思うと、数ヶ月後に、鳩をゆびさして「ハト、ハト」と言いました。脳のどこかに「ハト」という言葉がしまいこまれていて、脳の引き出しからふとでてくるようです。「覚える」と「話す」の間に、とても長い距離があるのかもしれません。このあたりは、専門家の先生ならうまく解説してくれるのでしょうね。
なぜ、こんなこをと思い出したのかというと、「マラソン」という自閉症の青年が主人公の韓国映画のDVDを観たからです。
主人公の青年は、二十歳になっても知的レベルが5歳程度。言葉を話せても、コミュニケーションをとることがほとんどできません。
幼い頃、降りしきる雨の中で、母親から手を差し出すように言われ、「雨。雨がザーザー降っています」と教えられます。何度も同じ言葉を教えられますが、言葉は出ません。
ところが、10数年経て、ある雨の日に、青年はかつて母から教えられたように、雨を手のひらで受け止めて「雨がザーザー降っています」と突然口にします。
この映画は実話に基づいています。かなり細かなところまで、自閉症の特性を描いているので、おそらくこのような場面もあったのだと思われます。
自閉症の子(人)の頭の中というのは、ほんとに不思議です。
もうひとつ。言葉を発することを苦手とする子(人)は、何を言っているのかわからない、言語不明瞭な場合もあります。でも一生懸命に聞いて、何かわからないなりに繰り返し自分でも口にしてみると、わかるようになることがあります。
また妹の例になりますが、さかんに私に向かって「カッケ」と言っていた時期がありました。「カッケ」ってなんだろうと思って「カッケ?」と聞くと「カッケ」と答えました。「カッケ」と言った後に、なぜか腕をあげて、指を空にむけるのです。
ますますわからなくなりました。
いったい、何が言いたいの???
「カッケ、カッケ、カッケ」と私は口にしてみました。妹の「カッケ」をよく聞くと「ッ」の前になにか音があるように気がしました。
「カッケ、カッケ、カッケ・・・カラ・ケ、カ・ラ・オ・ケ」、そうか「カラオケ」だ。妹に「カラオケ?」と聞くと(やっとわかったかという顔で)うれしそうに「カッケ」と言ったあとに、空を指差して「雨、雨、ふれ、ふれ」の歌の冒頭だけ歌いました。施設で、カラオケで「雨、雨、ふれふれ」を歌っていたのでした。
妹は「ラ行」の音はうまく発音できません。「コロッケ」も「コッケ」です。そうか、カラオケの「ラ」が言えずに、「カオケ」になっていたのが、「カッケ」に聞こえていたんだということに気づきました。そうか、そうか。謎がとけた喜びを味わうことができました。
何を言っているのかよくわからない時は、苦手とする音を組み合わせてみると、わかるかもしれないことをこのとき覚えました。
言っていることがわからないからと、あきらめるのではなくて、わからないなりに何度も何度も聞いていくうちになにかヒントがつかめるかもしれません。
ところで、偶然ですが、さきほどの映画「マラソン」の雨と、妹の雨がつながりました。
トビラコ店主
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