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2021.05.08

トビラコへ、ようこそ
 
~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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知的障害のある子が大人になったきに、自分で料理をする生活をしてほしい。
 
そんな思いから、食育のカードゲームを作りたいと、ある団体から相談を持ちかけられたことがあります。
 
聞いてみると、そこでは寮生活をしている10代の子どももいて、料理をみんなで作る時間があるそうです。子どもたちは、毎日、何を作ったらいいのかわからず、献立作りに頭を悩ませているのだとか。
 
そこで、支援者たちがカードゲームで遊びながら、バランスの良い献立をイメージできるようにしたいということでした。
 
すでに手作りされたカードには、餃子、卵焼き、焼きそば、カレーライス、サラダなどなどひとつのカードに一品ずつイラストが描かれていて、それを組み合わせて遊べるようにしていました。
 
餃子とカレーライスとなると、バランスの良い献立とはいえず、高カロリーでしょう。カレーライスとサラダならOKでしょう。一見すると、ためになるゲームのように思えます。
 
でも、待てよ、と思いました。
 
知的障害でなくても、毎日毎日バランスの良い献立を考えるのは大変です。
毎日の料理は、カードゲームのようにはいきません。買い物に出かけて、材料を買うところから始まります。その材料にしても、予算があります。その前に冷蔵庫に残っている消費期限間近のものなんとかしなくてはならないこともあります。時間がない時には手早く作れるものでないとなりません。
 
冷蔵庫のストック、消費期限、その日の料理に使える時間、その日の家族や自分の体調、人によっては食物アレルギーのことも考慮しなくてはなりません。もちろん好き嫌いもあります。そして何より毎日の料理というのは、その日1日で終わるわけではなくて、連続しています。
 
そうした背景がありながら毎日の献立を考えることは、じつはとても高度な作業なのです。カードゲームで覚えられるほど単純ではありません。
 
では、どうしたら良いのか。料理研究家の土井善晴さんが、これに答えてくれる、おそらく日本で唯一の料理研究家ではないでしょうか。
 
ご存知の方も多いと思いますが、土井さんは一汁一菜(いちじゅういっさい)を提案されています。味噌汁(具沢山であればなお結構)、ご飯(パンでもなんでも良い、我が家はシリアルです)だけでいいというのです。ま、あれば香の物(漬物)。そこに魚や肉の料理をつけてもいいし、なくてもいい。
 
味噌汁というと、これまではなんとなく定番がありました。豆腐、ワカメ、なめ茸、揚げなどでしょうか。でも、土井さんは味噌汁に入れるのはなんでもいいと言います。我が家も、野菜の残り、トマト、きゅうり、煮物の残り、竹輪、ソーセージ、チーズなど、あるものや残りものを入れることがよくあります。おかげで食品ロスはゼロにちかいです。
 
味噌汁はなんでも受け止めてくれる包容力があります。味噌は発酵食品なので体にもとてもいいし、豆製品であるからタンパク質も取れるでしょう。
 
おかずにお金をかけない代わりに、味噌は多少いいものを使った方がいいと思います。いい味噌なら、だしがなくても大丈夫です。あるいは、昆布を5センチくらいにきって入れるとさらに良いです。たびたび我が家の例になって恐縮ですが、我が家は水に昆布を入れて、緩く煮立てて味噌を入れ、広がった昆布は細く切って味噌汁に入れて食べてしまいます。
 
味噌汁さえ作れるようにしておけば、大丈夫。こんなに心強いことがあるでしょうか。
 
おかずをテーブルに何品も並べて、たくさん食べるようになったのには、最近のことだと土井さんは語ります。最近といっても高度経済成長期にまで遡るので、土井さんの感覚で最近ということです。
 
この話は、長くなるので『くらしのための料理学』(土井善晴著 NHK出版)をお読みください。この本はおすすめです。
 
話がそれましたが、子どもに「料理は大変」と思わせるのではなく「料理はそんなに手間かけなくてもいい」を教えた方がいいと思うのです。それよりも旬の野菜や魚などを店先で、あるいは買ってきて一緒に味わう体験の方が、のちのちのためにもなります。
 
旬のものは値もはらずに、栄養価も高いです。手間をかけなくても、旬の野菜を茹でて塩やオリーブオイル、マヨネーズをかけるだけで十分おいしいです。手間をかけずにおいしく食べるために必要なのは、旬の素材であることです。
 
人間も自然の一部なので、その季節のパワーがみなぎっているものを食べていれば、自然から力をもらうことができます。
 
それにしても、毎日の台所に立つ人だって、毎日の献立を考えるのは大変なのに、なんで知的障害のある子に、毎日の献立(しかも栄養バランスの良い)を考えられるようにというテーマなんでしょうかね。自分がそれをできているのかを振り返るところから始めてほしいと思います。そうすると自ずと、そのような食育ゲームにどれほどの実効性があるのかがわかると思います。
 
土井さんは、「料理とは素材を食べられるようにすること。おいしいかどうかは二の次」だと言います。最優先で大切なことは、安全であること。そのために清潔であること。食中毒を起こさないようにすること。むしろ、教えるべきはこちらではないでしょうか。
 
 
 
 
 

トビラコ店主

 

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【発達障害の子の小学校入学】学習につまづかない「ノート・日記・下じき」選びで工夫しよう!をアップ!
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