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2021.06.12

トビラコへ、ようこそ

~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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子どもに良かれと、子ども名義でしてあげた貯金が、ある日、自由に使えなくなる。
こんな事態に、実家が陥ってしまいました。参考になればと、失敗談をお伝えしますね。
 
騙し取られたとか、そういう話ではありません。
 

最初に結論だけお伝えすると、障害のある子の場合、子ども名義の預貯金はほどほどに、ということです。子どものためにお金を残すなということではありません。名義が問題になるのです。子どものために使いたいお金であっても親名義にしておくのが賢明です。
 
その理由を、少し長くなりますがお話します。
 
私の妹は重度の知的障害のある50代で、施設に入所しています。とてもいい施設で実家との関係も良好です。
妹には障害者年金が支給されています。母はそのすべてを妹名義で貯金し、その他、余分に入った自分のお金も妹のために定期にしたり、積み立てたりしてあげていました。
 
通帳類は施設に預けて、必要に応じて使ってもらえるようにしています。施設はお金の出し入れにはとても厳密で、引き出すお金がどんなに少額であっても、すべて母の承諾を得て、領収書と通帳とを見せてくれます。妹の靴下1足を買うのまで、母や私の承諾を得ようとするほどで、そこまで細かくなくてもいいんじゃないかしらとすら思っていたくらいです。
 
また、母は妹の通帳から、施設に寄付するためのお金を支払ったり、妹が実家に帰って来たときにおいしいものを食べさたりということも、妹の通帳から引き出していました。というのは、親の会の人から「貯める一方ではなく、お子さんが支給されているお金をお子さんの楽しみのために使うように」とアドバイスされたからです。
 

●ある日、自由に使えなくなった妹の通帳
 
ところが、これが、あることを境に自由に、妹の通帳から引き出せなくなってしまったのです。

 
妹に法定後見人をつけなくてはならない事態が発生したからです。
 
後見人というのは、判断能力のない人に代わって契約など煩雑なことをする人です。親族がなることもできますが、後述するような理由で法定後見人を立てなくてはならなくなりました。
 
法定後見人は、当事者(この場合、妹)の財産を守るために家庭裁判所(家裁)が選んだ専門家です。妹の場合は司法書士です。司法書士が通帳の一切を管理し、施設も家族も自由にお金を引き出すことができなくなりました。通帳の中身すら見せてもらえません。法定後見人には守秘義務があるからです。
 
妹に使うお金が発生したときには、施設が法定後見人である司法書士に連絡して司法書士が現金書留(!)で施設にお金を送ってくるそうです。
 
満期になった定期を引き出して、施設に寄付したいと母が思っても、母の一存ではできないのです。司法書士に連絡し、司法書士が家裁にお伺いを立てて、家裁が許可して初めて寄付することができます。寄付の理由や額が妥当かどうかを精査するそうです。書きながら、なぜ?という疑問がたくさん湧いてきます。
 
善意でお世話になっている施設のために少しでも役に立ててほしいと考えているのに、それすら判断を仰がなくてはいけないなんて!!
 

●突然発生した相続
 
なぜ、こんなことになってしまったのか。それは一昨年に発生した叔母の財産の相続に遡ります。
 
叔母は生涯独身だったため、叔母の預貯金を親族が相続することになりました。妹は自分の判断する能力がありませんから、後見人が必要となります。私が後見人になればいいと思われるかもしれませんが、次の2つの理由で私は後見人になることができません。
 
1)
相続のように、被後見人と後見人(この場合、私と妹)に同時に利益が発生する場合には親族が後見人になれない。
 
  専門的には利益相反といます。性悪説に立てば、妹が相続できる分を私が横取りすることを防ぐためです。
 
2)子どもが成人している場合、原則として親族は後見人になれない。
 

で、相続の手続きが無事終わり、妹の手にも叔母の相続分が行き渡りました。法定後見人の役割も終わったのだから、この後は、私が後見人にバトンタッチする予定でした。2)は、原則としてなので、この場合は、司法書士の先生も、家裁に掛け合ってバトンタッチできるようにしましょうということで動いてくれました。

 
●子ども名義の預貯金はほどほどに
 
ところがです。家裁から許可されませんでした。その理由は、妹の預貯金の額が多すぎるからとのこと。家裁の人のさじ加減ひとつで、認められたりられなかったりということは起こるそうですが、これはあんまりだと思いました。
 
母は妹の障害者年金のほとんどを貯金し、それどころか自分のお金までも少しずつ妹に積み立ていたのに。たとえ妹のために使うお金であっても、いちいち家裁の許可が必要になってくるのです。
 
また、性悪説として考えれば、私が後見人になって妹の預貯金を好き勝手に使う恐れがあるということなのかもしれません。でも、私が家裁に妹名義のお金の使い道を領収書と通帳とともに報告すれば済むことではないでしょうか。本当に、この法律の柔軟性のなさにモヤモヤします。
 
法定後見人である司法書士の先生にお支払いする金額は毎月2万円です。年間24万円。人によっては月に3万円の場合もあるそうです。24万円を10年払い続けて240万円です。その分、施設に寄付すればどれだけ施設も助かることか。
 
なんとかならないのか、これから検討しますが、一旦決めた法定後見人に辞めてもらうというは、難しいそうです。辞めてもらうには、それなりの理由が必要です。例えば、管理している財産を横領したとかです。でも、これは滅多にないことです。
 
後見人制度とは、無関係と思っている人でも、ある日、突然、このように降りかかってくることがあります。
 

結局、どうすれば良かったのかというと、妹のために使うお金であっても母が自分の口座に預けておけば良かったのです。自分名義ですから、引き出すのに誰の許可も必要ありません。
 
子どものために使うお金を子ども名義の口座に確保しておかなくてもいいんです。今回の件で、嫌というほど思い知らされました。
 
繰り返しますが、相続は突然発生することがあります。そうなると法定後見人の必要が生じてきます。一旦ついた法定後見人は、子どもが死ぬまで財産の管理をします。つまり、子どもが死ぬまでお金を払い続けなくてはならなくなります。このことは、意外と知られていないように思います。
 
法定後見人制度は、認知症の高齢者の財産を守るためにできた法律だそうです。それが障害者にも適用されているので不具合が起きてしまうわけです。
 

●結論、子どもに判断能力があれば家族が後見人に、なければ未成年のうちに親権を上手く使う
 
なるべく、法定後見人という赤の他人に、わが子の財産を管理されないでもすむように考えておいた方がいいと思います。
 
子どもに判断能力のある場合は、頼れる家族が任意後見人に、未成年なら、親権を使って親と任意契約を結ぶように。
 
詳しくは、親子心後見®️を、ご覧ください。
 
こちらでも何回かご紹介している『障がいのある子の親なき後も幸せに暮らせる本』の著者である鹿内幸四郎さんが、わかりやすく紹介しています。相談室もあるようです。
 
鹿内さんの登場で、後見人制度の不具合がかなり知れ渡るようになりました。ぜひ、この本をお手元に。親権が使えるのは、2022年4月1日から法の改定により、子どもが18歳までに変わります。こちらも鹿内さんが、情報の拡散に努めていらっしゃいます。このこともぜひ頭の隅に入れておいていただき、親権があるうちにできることをしておくことをおすすめします。

 
 
 

トビラコ店主

 

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【発達障害の子の小学校入学】学習につまづかない「ノート・日記・下じき」選びで工夫しよう!をアップ!
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