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2021.11.07

トビラコへ、ようこそ

~店先で、ちょこっとおしゃべり~

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「家のお手伝いをしてきた子は成長してからの問題がいちばん少ないようです」
 
こう語るのは、精神科医の本田秀夫先生(信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長)です。
 
植木に水をやったり、新聞をとってきたり。毎日続けられる簡単なものでいいそうです。
 
「よくやっているね」と誰かに評価されることが自信につながります(『発達障害 あんしん 子育てガイド 幼児から思春期まで』思春期までに「自尊心の貯金」より)。
 
お手伝いについて、本田先生は「自尊心」を育む上でも必要と語っています。小さいうちから自尊心を「貯金」しておくと、難しい思春期でも乗り越えられるからです。
 
別の方面から、お手伝いの効用を語る先生もいます。
 
以前取材した自閉症に詳しい児童精神科の先生です。偶然ですが、本田先生と同じように植木の水やりを例に挙げてくれました。でも、本田先生とはちょっと違う角度からの効用でした。
 
「相手の気持ちを推測するのが苦手」という自閉症の特性に焦点を当てて話してくれました。
 
それはこうです。「これ(植木に水やり)をすると、相手(家族)が喜ぶ」ということを学べるのもお手伝いの効用だというのです。道徳的な観点ではなく、マニュアルでもいいから、「これをすると、相手が喜ぶ」のバリエーションをいくつも持っているといいのだそうです。
 
マニュアル的に覚えるのに否定的な見方もあります。でも、その先生の話を聞いて、むしろマニュアルとして頭にインプットしておくことが、その子(人)の処世術になることもあるんだと思いました。
 
先生が、小さい頃から診てきた自閉症の男性の話です。職場での人間関係をうまくこなすために、彼が朝起きて、まずすることがあります。それは、職場で最初に出会った人がAさんならこのように挨拶しよう。Bさんなら、こういう言葉で受け答えしよう、といくつものパターンをシミュレーションするそうです。彼はとても頭がいいので、何10通りものパターンを記憶することができます。そうしてから家を出ます。すでに頭の中でシミュにレーションというリハーサルしているので、誰にあってもうまく応対できるのだそうです。
 
医師は「彼が職場でうまくやっていければそれでいいんです。それが彼の処世術です」と話してくれました。
 
二人の医師の話をまとめると、お手伝いには「自尊心」を育てるという側面と、「これをすると、相手に喜ばれる」ことを学ぶ側面と、二つあるわけです。前者はよくわかるのですが、後者は意表を突かれました。
 
相手の気持ちを推測するのが苦手という特性は、訓練でどうにかなるものではないでしょう。また、「相手の気持ちがわからない」ことを責められても困るわけです。だとすれば、マニュアルでもいいからパターンとして覚えるというのは、大いにありだと思いました。そもそも「気持ち」とか「心」とかは、つかみどころがありません。自閉症の特性がなくても、よく考えるとわからなくなってしまいますよね。
 
 
 

 

トビラコ店主

 

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