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戦争は人災。大震災は天災。
どちらも、人々をパニックに陥らせます。
先日、東日本大震災で被災した気仙沼の方に話を聞く機会がありました。お子さんは、重度知的障害で自閉症です。
それでなくても突然の変化に弱い自閉症。地震直後からパニックを起こし、窓ガラスを激しくたたくようになったといいます。そこで、ある施設の精神科医から薬が処方されました。
ところが、薬をのむようになって1週間で、左半身付随に。薬をやめると、今度はさらに暴れるようになり、笑顔がなくなりました。この状態が震災から5年続いたそうです。
薬がリスクと知ったのは、震災から2年後。岩手医大の臨床医に診てもらったところ、自閉症のお子さんに必要だったのは、薬ではなく心のケアだとわかり、治療が始まりました。
治療はお子さんの話を十分に聴くというもので、専門的には「傾聴」だと思います。傾聴を含め「認知行動療法」と呼ばれる治療が3年半続き、ようやくよくなったお子さん。
それでも、2年前、つまり震災後9年経っても、地震のフラッシュバックが起きたいたといいますから、震災が引き起こした心の傷がいかに長引くかがわかります。
「うちの子は、たまたま、岩手医大できちんとした治療を受けられました。でも、宮城(県)には専門医がいないので、まわりの子は診てもらえなかったんです」とお母さん。
改めて、子どもの、とくに障害のある子の心のケアをしてくれる専門家の少なさを思い知らされました。
今、起きている戦争でも、パニックを起こしている子はいるはず。何年もの長きにわたり不安定な状態が続き、フラッシュバックも起きてしまうのでしょう。早い段階での心のケアが行われることを願わずにはいられません。
トビラコ店主
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