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大きな災害はだれもがショックをうけ、茫然とし、気持ちの切り替えなど容易にできるものではありません。
自閉症の子であればなおさらです。これまでに経験したことのない非日常を前に、混乱の極地に身を置くことになります。自閉症の子の震災後の生活は、初期の段階で適切な心のケアができるかどうかで、大きく変わることはあまり知られていません。
気仙沼で被災した小野寺明美さんの息子さんは、自閉症で重度の知的障害です。
被災した当時は15歳。支援学校に通っていました。通学が困難となり、施設に入所を余儀なくされます。施設に隣接する支援学校に転校もしました。
震災の衝撃、施設入所、転校。急激に変化した環境に適応できずに、息子さんは窓ガラスを激しく叩き、暴れたり、暴力を振ったりする問題行動を起こすようになりました。それまではおだやかでニコニコしていたのに笑顔が消えたといいます。
窓ガラスを叩いたのを機に、息子さんは精神科医の診療を受けて2種類の薬が処方されました。
問題行動は、薬を飲むようになってからますますエスカレートしていきます。
その後、小野寺さんは縁あって日本医師会が行っていた「子どもの心のケア」を知りました。医師の診療を受けたところ、問題行動の原因が薬であることが判明。即刻、薬をやめ、3年半にわたる治療が始まりました。
認知行動療法です。薬ではなく対話で心を安定させていく治療です。医師は息子さんの話相手になり、徹底的に話を聴いた(傾聴)そうです。そうやって、徐々に落ち着きをとりもどしていきました。
薬を否定するわけではありませんが、万能でもありません。ましてそれまで薬を服用したことがなかった子に安易に処方されることは疑問です。
小野寺さんの息子さんの場合、震災で大きなショックを受け、環境の変化にも耐えられなくなり、発散する場がなかったのだと思います。薬ではなく、心にたまったマグマのようなものを、話を聞くことで吐き出させて落ち着いたわけです。
生きるか死ぬかの大災害の前では、人はまず日常生活を取り戻すことに懸命になります。「心のケア」の優先順位は下の方に考えられてしまうかもしれません。でも、同時に行ってほしいと、小野寺さんの話を聞きながら思いました。心の安定は日常生活を取り戻すことそのものなのですからね。
小野寺さんは言います。「うちの子は、心のケアを受けられたからよかったけど、まわりには受けられなくていまだに大変な思いをしている子がたくさんいるんです」。
トビラコ店主
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