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2023.10.24

トビラコへ、ようこそ。

~店先で、ちょこっとおしゃべり~

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

 
LD(ラーニングディファレンス)の子が見つけてこんな勉強法 「学び方」はひとつじゃない!』(野口晃菜・田中裕一編著 合同出版)は、副題の「学び方」はひとつじゃない!の通りたくさんの事例が掲載されています。
 
LD=学習障害とされ、LDの「D」は教育的に見ると「Learning Disabilities=障害」、医学的な立場で見ると「Learning Disorders=障害」だそうですが、いずれも「障害」であることに変わりはありません。でも、本書の「D」はDifference(違い)の「D」。ここが本書の核となっています。
 
障害は環境が作り出すことがあります。他の人と同じやり方ではできないけど、違う(Difference)やり方なら問題なくできる。この場合、「できない」は障害ではなく、環境(道具も含む)に問題があったわけです。
 
本書には、私がお世話になった放デイ運営者の娘さん(現在大学院生)の話も掲載されています。知っている人だけに興味深く読みました。
 
彼女は、LDだけど、まさにDifferenceの方のLDです。パソコンを使うことでこれまでの学習が一変します。
 
日本の学校教育は一斉授業で、皆が同じように学ぶことが求められてきました。今でも大半の学校はそうかもしれません。しかし、学習の目的は鉛筆で字が書けるようになることではありません。パソコンでも良いわけです。
 
あと、彼女がよく「スカートが苦手」と言っていた意味が本書を読んでわかりました。スカートは寒いのです。寒いと体力が消耗して疲れてしまうのだそうです。体温の調節に大きな課題を抱えていた彼女にとって、スカートは体力を消耗させてしまうものだったのです。制服はまさに「みんな同じ」の典型で、女子はスカートが定番。学校を象徴しているともいえます。
 
話がそれましたが、本書のいくつも事例はすごく参考になる部分が多いと思います。文字が多いので(それだけ語るべきことが多い)、わが子に近い事例を見つけ出してそこから読み始めるのもいいかも。
 
余談ですが、編著者の田中裕一さんも、私が直接お話を聞いいるかたです。当時は文科省に勤務し、特別支援教育の学習指導要領(学校の教育方針を定めたもの)を手がけいました。これからの特別支援教育や合理的配慮について手弁当で全国行脚という熱血漢です。
 
田中さんには、合理的配慮を随分と早くから教えていただき、その中で印象に残っているのは、代筆代読の話です。パソコンが読み書き困難の全てを解決するわけではないというのです。
たとえば役所で書類を書くなど、生活の中には意外と手書きの場面があります。でも、役所などの公的機関(交通機関も含む)は、合理的配慮として求めに応じて代筆や代読が義務付けられています。この合理的配慮も同時に知っておいてほしいと田中さんは語っていました。
 
まさに情報の差が生活の差でもあるわけです。本書もそういう意味では、掲載されている事例(情報)を知っているかいないかで子どもの学ぶ環境がずいぶんと変わります。

 

 
 

トビラコ店主

 

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