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2017.03.25

地味で書店では埋もれてしまいそうだけど、とても良い本があります。『発達障害の子を育てる親の気持ちと向き合う』(金子書房)は、多くの人に読んでいただきたい本です。最近のトビラコ店主のバイブルといっていいかもしれません。

 
支援者が読む本なのかもしれませんが、親が読んでも得るところ大です。専門書にありがちな難しい言葉はほとんど使われていません。編集は中川信子さん(言語聴覚士であり子どもの発達支援を考えるSTの会代表)。責任編集とはまさにこのことで、吟味されたテーマで編まれています。ここに目次を紹介します。

 
第1章 発達障害の子をもつ保護者のためにできること 中川信子/
第2章 保護者がわが子の「特性」に気づくときー健診から療育へ 市川奈緒子/
第3章 地域の小児科診療室で出会う親子の姿から 堀口貞子/
第4章 保育園・子育て支援センター・発達支援センターでの保護者とのかかわり 藤田晴美/
第5章 親の会による保護者同士のサポートの実際 進藤美左/
第6章 「ことばの教室」通級児の保護者と共に 阿部厚仁/
第7章 精神科の診察室でできること 児童期の子を持つ親の支えとなるために 山登敬之/
第8章 思春期の子どもたちの周りの大人たちへ 前田かおり/
第9章 特別支援学校から 小・中学校に置いて必要な支援とは 田上美恵子/
第10章 障害のある子の症例を見据えた生活設計のために 綿 祐二/
資料 先生に贈る ありがとうBOOK 中川信子 

 
どの章から読んでもいいですし、どの章も読んで良かったという内容ばかり。例えば「診断名にはこだわらない方がいい」(山登敬之)、「障害受容できなくたっていじゃない」(進藤美左)など親としては、ハッとしたりホッとしたりできる内容も織り込まれています。

 
本が売れない時代、「発達障害」という名がついた本は比較的売れるとあって、数多く出版されています。その中で長くこの世界の一線で活躍してきた専門家が編集した本は、やはり中身の濃さが違うなと思いました。そんな本が気づかれないままなのは、あまりにもったいないと思い、ここに紹介した次第です。

 

✴︎
『使ってみたら「できる」が増えた 発達障害の子のためのすごい道具』(小学館/筑波大学附属大塚特別支援学校主幹教諭安部博志著/トビラコ編集)重版決定!