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2017.04.15

トビラコへようこそ!

 
良かれと思ってしたことが、その子を困らせたり不安がらせたりすることがあります。トビラコ店主の失敗談です。

 
発達系の親子の集まりに参加した帰りのこと。やや多動気味の幼児男子を連れたお母さんが、子どものそばを一瞬離れなければならない用事ができてしまいました。男の子から目を離すこともできずに困っていたので、その子を見ることにしました。男の子とおしゃべりし、少しなついてくれたので、抱っこをしようとしたその時です。それまでニコニコしていたのに急に落ち着きを失ったように感じられました。

 
どうしたのかなと思っているところへ、戻ってきたお母さんから聞いた男の子の特性を聞いて納得。「地面から足が離れるのを嫌がる」というのです。知らなかったとはいえ、悪いことをしてしまいました。当時は発達系のことをあまり知らずに、いろいろな会に顔出ししていた時期。今なら、抱っこを嫌がる子がいることは知っているので、むやみにそんなことはしないでしょう。

 
そのお母さんとしばらく話をしました。お母さんは「障害があるように見えないよ、と言われるんですけど、それだから困っているんですけどね」と半ば笑いながら話しました。その意味が今になると痛いほどわかります。

 
そのお母さんから学んだことがもう一つあります。子どもにして欲しくないことは、具体的に伝えることが大切ということです。「地面から足が離れるのを嫌がる」と具体的に伝えてくれたので、この次に男の子に会ったら決してそれはしないでしょう。

 
その子が抱えている困難は外からはわかりません。だからこそ、具体的に伝えてもらえると周りの人も本人も助かります。こうした日常的な場面で理解がすすむといいなと思います。苦手なことは本当に一人一人違っていて、本に出ていることが必ずしもすべてではないからです。

 

トビラコ店主より

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『使ってみたら「できる」が増えた 発達障害の子のためのすごい道具』(小学館/筑波大学附属大塚特別支援学校主幹教諭安部博志著/トビラコ編集)3刷決定!