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2017.06.24

トビラコへようこそ!
 

「またお会いしましょう」「今度、食事でもご一緒しましょう」
何気なく使っているこの言葉は曖昧です。
 
こんな話を聞きました。
 
就労移行支援で仕事に就いた青年が、毎日のように「食事に行きましょう」と上司である女性のところに来ました。そのたびに女性は「今は忙しいから、またね」と言っていました。翌日になるとまた青年が「食事に行きましょう」と来ます。毎日、その繰り返し。終業時刻になると、そろそろくるなと思うようになりました。
 
ある時、上司はようやく自分の言い方に問題があったことに気づいたのです。
青年に軽い気持ちで「今度、食事でもしましょうね」と伝えていたのでした。
具体的にいつという話ではなく、彼が仕事を一所懸命にやっていたのでそのように誘ったのでした。それはほめ言葉の一つだったかもしれません。
 
青年はなんでも言葉通りに受け止めて、その裏にある意味やニュアンスがわかりません。
「一緒に食事をしましょう」と誘われているわけですから、当然のように「食事に行きましょう」になるわけです。
 
すると「今」は忙しいから「また」と言われる。「今」は忙しいから行けないけど、「今」じゃない明日は忙しくないかもしれないと「また」を解釈したのです。
 
上司は自分の言い方を反省し、今度ははっきりと
「ごめんなさい、あなたと食事には行けないのよ」と答えました。
 
すると、翌日から日課のように来ていた青年がピタッと来なくなりました。
これで、よかった。と思うと反面、あれほど毎日来ていた青年がその日を境に
姿を見せなくなったことが、少し寂しくなり、自分の勝手さに苦笑したそうです。
 
「今度」と「また」の言葉の裏側には、「機会があれば」くらいの意味が込められています。あるいは、そこまでいかなくても、相手への好感情を現す言葉かもしません。
 
トビラコ店主の知り合いに50歳近くになって発達障害と診断された男性がいます。
共通の友人の話では、その男性にもやはり「今度」が伝わらず、「今度、あのお店に行こう」といって別れると、翌日電話かかってきて「いつ行く?」と具体的な日程を求めてくるそうです。
 
当たり前と思って伝えていて、実は伝わっていないことって、まだまだありそうです。相手に伝わらない時には、自分の言い方に問題があったかもしれないと振り返ることも必要ですよね。

 

トビラコ店主より

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人気ブロガーのアマミモヨリさんが「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」をブログに書いてくれました。おもしろくて、ためになる使い方です。

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