お知らせ一覧

2017.08.02

トビラコへようこそ!
 

数は多いはずなのに、一見するとそれとわからないために見逃されがちなのが、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる子どもたちです。
 
特性が薄いため、もしかしたら大人になったらなくなるんじゃないかと期待したり。勉強ができるからいい大学に入れるし、一流企業に就職できるようになるんじゃないかと思いがちです。確かに勉強ができて、一流企業に就職するケースも少なくありません。でも、問題はその先なのです。
 
いくら薄いといっても特性がなくなるわけではありません。誰かれおかまいなしに思ったことを口にしてしまう。自分のルールを絶対に曲げない。こうした特性は学校時代ならなんとかなったかもしれません。何しろ勉強ができるという免罪符を持っていたわけですから。
 
でも、社会に出るとむしろそれが逆に働くことがあります。学校の勉強だけできて「使えないヤツ」(イヤな言い方ですが)となってしまって、いつのまにか孤立し会社にいられなくなってしまう。
 
だからこそ、特性を早くに知って、少なくともコミュニケーションの最低限のルールは教えておく方がいいし、特性に合わないことはさせない方がいい。
 
という話を親の会の大先輩から聞きたことがあります。とても納得できるものでした。
 
トビラコ店主の弟もいわゆるグレーゾーンです。といってもかなりグレーの部分が濃いですが、一見すると障害があるようには見えません。だから大人になって経験を積めば大丈夫だろうと思っていました。
 
確かに経験を積んで慣れることもあります。でも持って生まれた特性を解消することはできません。
特性を知っていれば、絶対にすすめなかったであろう仕事もさせました。
弟は同時にいろいろなことを処理することが苦手です。母と私と両方で話しかけると半ばパニックのようになって怒り出します。立て続けに用事を言いつけられても怒ります。当時はそういう性格なのだとずっと思っていました。でもそれは直すことのできない特性だったのです。
 
それなのに忙しいパン屋さんに就職して、工房で働きました。
クリスマスの前などはクリスマスケーキを明け方まで作らなくてはなりません。そのパン屋さんは有名な神社の近くにあったのでお正月はそのお店の名物まんじゅうが飛ぶように売れ、工房はてんやわんやです。
多忙を極めた時期、パンの職人とパートで働いている数人の女性と両方から、「あれをしてほしい」「こっちの仕事を手伝ったほしい」などいろんなことを同時に言われていたらしく、ある時キレて「おれはタコじゃないんだ」と叫んだそうです。タコというのは空を舞うタコじゃなくて、手足が8本あるタコのことです。
 
周囲は驚いたでしょう。普段はどちらかというと穏やかだった青年が、いきなり「タコじゃない」とキレてしまったのですから。しばらくして、その職場を辞めました。
 
もし弟の特性に気づいていたら、もっと別の道を進めていたでしょう。そもそも「特性」という言葉すら知らず、ひたすら経験すればなんとかなると思っていたのですから。
 
がんばればできるというのは発達になんら問題を抱えていない子の話です。
発達系の子でがんばればできるというのは、毎回がんばらないとできないということです。特に特性が薄い子は、がんばるとできてしまうのです。だから親や周囲は「がんばれば、できるよ」とつい言いがちです。でもそのために本人はものすごいストレスを抱えることになります。
 
ここをわかっていない先生が、自分の教材で発達障害の子も学力が伸びたという話をしていることがあります。がんばりを金科玉条にする先生の話は、少なくとも発達系の子にとって弊害の方が多いように思います。そういう先生の話を聞くたびに、学力が伸びること=幸せに生きることではないんだけどなあと、残念な気持ちになってしまいます。

 

トビラコ店主より

ーーーーーーーーーー

人気ブロガーのアマミモヨリさんが「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」をブログに書いてくれました。おもしろくて、ためになる使い方です。

http://ameblo.jp/amami-blog/entry-12282332914.html?frm_src=favoritemail

ーーーーーーーーーー