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2017.11.16

トビラコへようこそ!
 
 

「してあげない」支援について考えていたら、まさにこれこれという例を見つけました。
 
トビラコがいつもお世話になっている安部博志先生(筑波大学附属大塚特別支援学校主幹教諭)が教師用資料として書いたコラムです。コラムに安部先生の実践が書かれていました。
 
ある買い物体験の話です。
 
安部先生が特別支援学校で担任を持っていた時代のこと。プールのある日は、学校まで徒歩30分の帰り道に、みんなでお肉屋さんのコロッケを買い、その場で食べていたそうです。
 
ひと泳ぎしてお腹がペコペコになっている子どもたちは、コロッケの買い食いを楽しみにしていました。お肉屋さんから漂うコロッケをあげるいい匂い。その匂いに誘われるようにしてお財布からお金を出して「コロッケください」、「コロッケにソースかけてください」とお店の人にリクエストします。自分からそう言わないと、お店の人は「何にしましょうか?、コロッケにする? ソースかける?」なんて、親切に声をかけてくれないからです。
 
それもそのはずで、お店の人は、安部先生からあらかじめ「子どもたちが自分から言うまでは、何もしないでください」と頼まれて、忠実にそれを守っていたのでした。
 
ある時、お財布を忘れた子がいました。みんなが次々お金と引き換えにコロッケを買い、美味しそう頰張るのを恨めしそうに見ていたそうです。ここでも、お店の人は忠実に安部先生に言われたことを守って声はかけずに知らんぷり、それを見て安部先生もお金を貸すわけにはいかなくなり知らんぷり。

 
誰も何もしてくれない、助けてくれないと悟った忘れん坊くん、商店街中、響き渡るように泣き叫びました。でも、それでもお店の人も安部先生も動じません。
 
結局、お財布を忘れた子はコロッケを食べることはできませんでした。
 
そして、翌週のプールの日、その子は何度も何度もお財布と中身を確認して出かけました。そうしてお財布をしかと持ってコロッケを買うことができました。
 
「してあげない」支援があったからこそ、失敗を繰り返さないためにどうするかを、身につけることができたのです。
 

失敗をさせないのが支援ではなく、自分でできるようにすることが本当の支援なんですよね。で、優秀な支援者というのは、このことをよくわかっています。
 
その支援のゴールはどこ? ここをわかっているかどうかですね、きっと。子育ても同じ。ゴールはどこなんでしょうか。

 
 
 

トビラコ店主より

 
 
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おかげさまで、トビラコの療育アロマは出足好調です。関心をもってくださった方、お買い求めてくださった方、ありがとうございます。早くもセミナーを計画中です。

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トビラコが編集した本

【6刷り間近か】『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)

発達障害 あんしん子育てガイド』(小学館)

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