tobiraco（トビラコ）

2018.07.26

トビラコへようこそ！

「強いところ」を伸ばすと、「弱いところ」も引っ張られるようにして伸びていく、ということがあるそうです。

トビラコ店主が、進学塾の先生からよく聞いたのは、算数の得意な単元を徹底的にできるようにして、その子にとって鉄板にしてしまうと、他の苦手だった単元への苦手意識がなくなり、算数全体ができるようになるという話です。

きっと、その子に自信がついたからなんじゃないかと思いますね。

で、発達障害の子も、その子の「強み」をとことん伸ばして、とんがらせようと考える人たちがいます。

自信がついて「苦手」がなくなる場合があるかもしれません。でも、ないかもしれません。「弱み」や「苦手」はあいかわらず、そのままの状態かもしれません。

なので、「強み」をとんがらせることだけに注力してしまっていいのかな、と考えてしまいます。

ある支援学校に電車のことなら生き字引のように知っている子がいました。

日本全国津々浦々、路線も駅名も全て書くことができます。その子が書いた路線図が、学校の廊下の壁に貼られています。それを見てだれもが驚きの声をあげます。それほどに細かく書かれているのです。

鉄道会社への就職を本人が望んだのは当然のこと。でも、その会社に入ることはできませんでした。

鉄道とは関係のない会社に就職しましたが、うまくやっているそうです。

支援学校でも家庭でも最低限の挨拶くらいはできるように教えてもらっていたでしょうし、人の中で困った振る舞いをしないようにと教えられてもいたと思います。

もし、これが、強みをとんがらせることだけに注力して、他のことは何もできない子にしていたら、どこの会社でもうまくはいかなかったと思います。

「強み」をとんがらせても、それを仕事に活かせないことがあります。むしろ、活かすことができない人の方が多いのではないでしょうか。

だから、とんがらせるな、ということではありません。とんがらせることだけではなく、そのままにしておくと本人が困るだろうなと思われる「苦手なところ」「弱いところ」は補っておくことも必要ですよね、という話です。

親の会のベテランの人に聞くと、「ありがとう」という感謝の言葉が言えること、「ごめんなさい」と謝れること。どんな特性をもっていようと、これができないとうまくいかないといいます。