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2020.07.03

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜
 

特別支援学校発の教材が、いまや企業の新人研修に使われているのいうのですから、わからないものです。
 
きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」です。
 

 
名前を言うと誰もが知っている会社も使ってくれています。
 
ここで何度かお伝えしていますが、トーキングゲームは、もともとはひとりのアスペルガーの男の子のために、筑波大学附属大塚特別支援学校勤務(当時)の安部(あんべ)博志先生が手作りしていた教材です。
 
男の子は、IQはとても高く、それだけに親は過剰な期待をして偏差値の高い学校へ入学させました。しかし、もともとコミュニケーションをうまくとることができない特性があり、いじめにあうなどして、次第に不登校に。生活は昼夜逆転し、自暴自棄になって荒れていきました。
 
あるとき、息子の部屋に入ったお母さんは大変なものを発見してしまいます。男の子が自分を傷つけている絵、首をつっている絵です。心配したお母さんがは安部先生に相談しました。
 
最初は学校行事の手伝いや教師の助手のようなことをしてもらったのですが、男の子はおもしろなかったのでしょう。そのうちこなくなりました。そこで、安部先生は、まず彼が心開いて話ができるようにしようと考えて作ったのが「トーキンゲーム」です。
 

トーキンゲームとかえるカードを手にした安部博志先生。

 
最初のうちは、仕方なくといったふうにやっていた男の子ですが、だんだんとおもしろくてなってきたようで、自分から「先生、今日はこれ(トーキングゲーム)やろう」と持ってくるようになったそうです。他のプログラムをすすめてもそれには見向きもしなかったといいます。
 
彼がおもしろいと思ったきっかけは、安部先生が自分の子供時代の失敗を話たからだ思います。教室でおもらしをした話をしたところ、彼は「そんなこと人に話してもいいんですか」と真顔で聞いたそうです。「いいんだよ、これは男同士の秘密だから」と安部先生は答えました。
 
常にいい成績をとることを求められ、失敗が許されない環境で育った彼にとって、人に知られたくない失敗を、あっけらかんと話す安部先生が不思議に思えたのでしょう。と同時にほっとしたのだと思います。
 
心を開いて話すということを知った彼の口から、次第に積もり積もっていた教師や親への恨みの言葉が堰を切ったように出てきました。しかし、吐き出すだけ吐き出したら、「でも、先生(親)も大変だったと思う」と、相手を思う余裕が生まれてきました。
 
そしてトーキングゲームのカードの次の質問が出てきたときです。
 
「こんな1日があったらいいのになぁ・・という理想の一日について話してください」というあなたの理想の1日は?」
 
彼は次のように答えました。
 
「そうですねえ、ポカポカと暖かい陽射しが降り注ぐ春がいいですね。朝気持ちよく目覚めたら布団をあげる生産的な活動をして・・・」
 
その話を聞いたお母さんは、「あの子は、そんなことを考えていたんですか」と涙を流したそうです。
 
たった一人の子のために作ったトーキングゲーム が、やがて全国の小中高の学校に広がり、放課後デイ、こども病院、大学のカウンセリングルーム、高齢者施設、日本語教室、そして企業にまで広がりました。
 
 偏差値は高くても心開いて話すことができない、自分の失敗を話すことができない。そういう人はおそらくたくさんいることでしょう。特に大きな企業に入るような人に多いかもしれません。そういう人たちこそ、トーキングゲームで、心開いて話すことの心地よさを体験してほしいと思いますね。
 
極めて個人的な事情によって生まれたゲームが、こんな風に広がっていくなんて、安部先生も、私も想像もしていませんでした。
 

 
 
 
 
 

トビラコ店主

 
 

 

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