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10月に入ると、そろそろ来年のカレンダーがお目見えします。
毎年おすすめしているカレンダーがあります。「ビニールポケットカレンダー」です。
このカレンダーを教えてくれたのは筑波大学附属大塚特別支援学校の安部博志先生(現・創価大学教育学科准教授)です。
ビニールポケットカレンダーは、これ以上ないというくらいに見やすくて大きな文字。その上に、1日ごとのポケットがついたビニールカバーで覆ったカレンダーです。大塚特別支援学校では、1日が終わると、グリーンの透明なカードを差し込んでいました。
「そうすると、今日が1か月のどのあたりかがわかるんです」と安部先生。
そのとき、はじめて、1か月の日数をイメージできない子がいることを知りました。それゆえ、今日という日が1か月のどの辺りかがイメージできないわけです。
10月2日が、月のはじめなのか、真ん中あたりなのか、終わりのほうなのか。透明カード(透明でなくても可)をポケットに差し込むと、月初めであることが見える化されます。
それだけではありません。見通しが持てないと不安な子には、カードに予定を書いて差し込んでおくと、見通しが持てて安心です。
ビニールポケットカレンダーをデザインしたのはアートディレクターでありデザイナーの大枝隆司郎さん。デザイン学校や美大で30年にわたり教鞭を取ってきたかたでもあります。その大枝さんとひょんなことから知り合い、ビニールポケットカレンダーの誕生秘話を聞きました。
ビニールポケットカレンダーは、もともとは特別支援学校のために作ったカレンダーではありませんでした。アートディレクターとして忙しく仕事をしていた30年くらい前に、大枝さんがやむにやまれず作ったのでした。
当時、会社に出入りするカメラマン、スタイリストたちの経費を清算するための領収書の整理がとても大変だったそうです。そこで、大枝さんは、ビニールポケットカレンダーの原型となるものを作って、領収書の日づけごとにビニールのポケットに入れてもらうようにしました。領収書の仕分けをしなくてすみます。これが口コミで評判となり製品に至ったそうです。
たた、用途が特殊であることからそれほど売れるものでもなく、作るのをやめようかとも思っていました。ところが、2011年3月、東日本大震災の年のことです。津波や震災で流されたり倒壊したりしたいくつもの特別支援学校から、「ビニールポケットカレンダーが流されたから販売してほしい」という声が届きました。
そこで大枝さんは、はじめてビニールポケットカレンダーが、特別支援学校で活用されていたことを知ります。震災で被害にあった特別支援学校で連絡のつく40校にビニールポケットカレンダーを寄付しました。そして、一度はやめようとしていたビニールポケットカレンダーの制作を続けるを決意したといいます。
「ビニールポケットカレンダー」は、大枝さんが代表取締役をつとめる株式会社シーガルという会社で企画制作しています。
シーガルさんの会社の方を、筑波大学附属大塚特別支援学校もご案内にしたのが2年前。もちろん大枝さんもお見えになりました。先生達が何人も打ち揃って迎えてくれて、ビニールポケットカレンダーが活用されている教室をいくつも案内していただき大変恐縮した覚えがあります。
先生たちも、普段使っている「ビニールポケットカレンダー」の制作者に説明するのがなんだかうれしそうでした。大枝さんもシーガルさんの会社の人も熱心に先生たちに質問していました。使い手と送り手の交流の場に立ち会えて、こちらもなんだかうれしくなりました。
シーガルさんはこちら。主流は歳時記カレンダー。日本で一番売れている歳時記カレンダーです。他にも素敵なカレンダーがいっぱいあります。
トビラコ店主
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トビラコが編集した本
『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)
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