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2020.12.05

トビラコへようこそ!

〜店先で、ちょこっとおしゃべり〜

お試しいただける商品をまとめました、こちらです。

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(本日配信のメルマガの記事の一部をお届けしております)
 
「療育」にどのようなイメージをおもちでしょうか?
 
静かな部屋で少人数、もしくは1対1、1体2くらいで、その子の苦手を支援し、得意を伸ばす。
 
そのようなイメージではないでしょうか。
 
それで、全然間違っていませんし、そこで子どもが自信をつけることができたら、療育の役割は十分に果たせていると思います。
 
でも、それだけが療育ではありません。
 
映画、「ゆうやけ子どもクラブ!」を観ると気づかされます。
* tobiracoのサイトでも紹介しています。
 

 

映画のタイトルにもなっている「 ゆうやけ子ども子どもクラブ」は、日本で最初にできた放課後等デイサービスです。
 
1978年、障害のある子どもの放課後活動として、子ども4人、大学生を含むボランティア5人で、東京都郊外の小平市で始まりました。
 
障害のある子の放課後の居場所がないという親たちの声から生まれました。もちろん「放課後等デイサービス」という言葉もない時代のことです。そして40年余り、いまでは「ゆうやけ子ども子どもクラブ」は70名の子どもを抱え、3カ所の事業所で活動しています。
 
「ゆうやけ子ども子どもクラブ」は、こぎれいな建物でもなく、おしゃれな遊具があるわけでもありません。子どもたちがお店やさんごっこや、トランプ、ダンスなどをやってワーワーと遊んでいます。すみっこで積み木遊びに興じている子もいます。外に散歩に出かけている子もいます。
 

 

 

全体的に雑多なのですが、雑多ながらも一つの世界ができあがっている「雑多ワールド」です。だれかとだれかがもめていたりすることもあります。
 
これのどこが「療育」と思われるかもしれません。
 
でも、代表の村岡慎治さんはじめ職員たちは巧みな見えざる支援をしているのです。
 
たとえば、子ども同士でなんとか解決できるようになるまで「見守る」こともそのひとつ。トラブルが起きたときに職員が割って入るのは簡単です。でも、それではいつまでたっても子どもは自分で解決することができなくなるし、大人が決めてしまっては子ども自身、納得できないまま終わってしまいます。
 
村岡さんの著書にこんな場面が出てきます。カルタ遊びでのトラブルです。
ちょっと長いのですが、引用します。子どもが折り合いをつけていく姿を、見守っている村岡さんと職員。これが見えざる支援です。
 

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 ルールにうるさい徹(特別支援学級小学3年)が声を張り上げた。
「お前、ずるいぞ!」
(読み上げが終わらないのに、カードを取ってはダメだ)と言うのだ。文哉の手から、強引に「エドワード」をもぎ取った。
 文哉はベソをかきだした。そばにいた(職員の)藤村が「やり直せばいいよ」となだめる。だが、それでも涙が止まらない。
 子どもたちは、取り終えると、自分が取ったカードの枚数を発表し合う。藤村が、文哉の代わりにカードを数えて伝えた。
「19枚。すごいよ。2位だよ!」。
 そう言われても、文哉は、まだ泣いている。
 そこに、徹がやってきた。「仕方ない。お前を2位にしてやる」と、声をかけた。
 徹は、3位になって、文哉に負けていた。だが、いつまでもメソメソしている文哉をかわいそうに思ったのだろう。
 すると、なんと文哉は泣きやんだ。 そして、自分が取ったカードを、まじまじと見つめている。
 友だちに「エドワード」を奪われて、悔しい思いをする。だが「2位だ」と言われて、自分で立ち直るーー。
(わたちたちがもとめていたのは、まさにこんな彼の姿!)(『揺れる心が自分をつくる 放課後活動だからできること』村岡真治 全障研出版部)

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ギクシャクしてしまった2人の関係ですが、「仕方ない。お前を2位にしてやる」の一言で徹がその場を収めたのでした。
 
上手に折り合いをつけることもまたコミュニケーション能力のひとつです。とくに発達障害の子は「折り合い」をつけるのが苦手な子が多いように思います。それが特性といわれればそれまでですが、経験不足から来ていることも大きいように思います。
 
だから、村岡さんたちは子どもが育ちあえる場をつくっているのです。

このような「場づくり」が、もしかしたら今流行の療育には少し欠けているようにも感じてしまいます。支援員が子どもを手取り足取り運動させたり、勉強させたりする姿ばかりみていると、「ゆうやけ子どもクラブ」の世界が、とても新鮮に見えてきます。誤解なきよう、急いで付け加えると、運動させたり、勉強させたりすることがいけないと言っているのではありません。
 

 
療育とは「注意深く丁寧に配慮された子育て」。
 
「療育の父」といわれた北九州療育センターの故高松鶴吉氏の言葉だそうです。
 
「丁寧な配慮」は、なにも個別に丁寧にということだけを指すわけではないと思います。その子に必要な環境を整えることでもあると思うのです。
 
将来、他人と一切接触することなく生きていくことはできません。小さいうちから人の中に入って、ある程度は揉まれ、自分で折り合いをつけていく術を身に付けることができる環境もまた「療育」といえないでしょうか。
 
写真提供:「ゆうやけ子どもクラブ!」
 
 
 
 

トビラコ店主

 

 

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小学館の子育てサイトHugKum(はぐくむ)に連載していました。
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